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「兄が暴れて全裸で外に…」兄弟姉妹が重い障害を抱える“きょうだい児”の苦悩と葛藤

無意識に兄と自分の2家庭分を維持できる収入を得ようとしていた

(株)ジルベルト 事業所内にて

大学の友人たちの大半は介護施設へ就職した。だが、福田氏は一般企業を就活した。会社の社長になりたかったからだ。内定は蹴って、半年ほどフリーターをした後、様々な仕事を経験した。そして、現在の会社を立ち上げる。 後々、振り返ってみると、無意識のうちに親亡き後の兄と自分の2家庭を維持できる収入を得ようとしていたことに気づく。それだけ兄の存在は、福田氏にとって、当たり前だけど重い存在だったのだろう。

独身のきょうだい児は少ない

インターネット上では、きょうだい児とその結婚問題について、不安を訴える声があるが福田氏はどうだったのだろうか。 「きょうだい児は意外に独身の人は少ないと思います。配偶者の家族も協力してくれるパターンが多いですね。僕自身、結婚願望はありませんでした。母が苦労しているのを見ていたし、兄貴と自分の2家庭の年収で、めちゃくちゃ稼がなきゃいけないと思っていたので。子どもはいらないと思っていました。今の日本で子どもを育てるって普通に難しそうじゃないですか」 だが、事業を立ち上げ、年収が安定したため、当時付き合っていた彼女と結婚をした。大学4年間付き合っていた彼女には、兄のことを別れる間際まで打ち明けられなかったが、今の奥さんには付き合って早々に兄のことを打ち明けたという。そして、発達障害など、障害に対する理解が世の中に広まってきたこともあり、子どもを産むことにも前向きになった
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オンラインきょうだい児会の開設
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立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1

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