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木梨憲武が“幅広い層”から支持される理由。何をやっても光るセンスはドラマ『春になったら』でも健在

結構しっちゃかめっちゃか、相当めちゃくちゃだけれど、なぜかまとまわりがあるし、安定している。 それが木梨憲武のスタイルなのか。毎週月曜日よる10時から放送されている『春になったら』(関西テレビ・フジテレビ) では、まさに木梨イズムが快調、ご機嫌な様子。 「イケメンとドラマ」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、通常運転なのに名演輝く本作の木梨憲武について解説する。

「平衡感覚がある」才人

木梨憲武という人の才能には、計り知れないものがある。筆者は「とんねるず」世代ではないけれど、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ)はよく見ていたし、東のバラエティ・キングの印象を今でも漠然と持っている。 32年に及んだ長寿番組『笑っていいとも!』(フジテレビ)の最終回(2014年3月31日放送)。お笑い界の大御所たちが勢揃いしてタモリを囲む姿は、壮観だった。石橋貴明はタモリの手前、わずかに控えめだったにも関わらず、木梨は観覧席にいるサンコンや田中康夫を勝手に呼び寄せる。 呼んだはいいけれど、あとは放っておく。この人の芸の持ち味は、広げるだけ広げて、回収しないこと。それだけはほんとに徹底している。自由で、勝手気ままが許された、でも実は誰よりも冷静で平衡感覚がある才人なのだ。

好きなことを好きなようにやるだけ

この平衡感覚を武器に、とりあえずどんなことにも取り組む。そして大抵のことをそつなくこなし、否が応でもセンスを光らせてしまう。1990年代からすでに画家としての才覚鋭く、1994年には初の個展『太陽ニコニカ展』を開催。 『とんねるずのみなさんのおかげでした』放送終了前後では、ニューヨークとロンドンでの海外個展も。一流タレントと並行して、アーティストの道をここまですんなり極めてしまうことには、やっぱり驚いてしまう。 例えばそれが、北野武監督のような世界的な名声(受賞)とは無縁だったとしても、お構いなし。自分の好きなことを好きなようにやるだけ。そういうスタンスがより濃厚かつ豊かな広がりを見せているのが、歌手活動ではないだろうか。
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通を唸らせる楽曲を「木梨レコード」で製作
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コラムニスト・音楽企画プロデューサー。クラシック音楽を専門とするプロダクションでR&B部門を立ち上げ、企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆。最近では解説番組出演の他、ドラマの脚本を書いている。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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