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松本人志の“文春裁判”の行方。「芸能人vs週刊誌」名誉毀損裁判、過去の判決から紐解く

ジャニー喜多川氏の週刊文春報道に対する訴訟

 もちろん、週刊誌側が真実性の証明に成功し、一部勝訴した裁判例も多く存在する。故ジャニー喜多川氏の性加害が問われた裁判だ。  故ジャニー喜多川氏が、文藝春秋の「週刊文春」で連載された未成年の所属タレントへの性加害を告発する記事によって名誉を傷つけられたとして、文春側に対して賠償金約1億700万円などを求めた訴訟。  2002年3月の東京地裁(井上哲男裁判長)は、文春側の取材班が複数の少年らから得た供述はおおむね一致しているが、「セクハラ行為を受けた日時について、具体的かつ明確には述べていないこと」、そして少年らが逆らえばデビューできなくなるという抗拒不能な状況にあるのに乗じ、セクハラ行為をしていることに関し、「その重要な部分が真実であるとの証明はされていない」などとして、真実性の証明がされていないと判断した。  これにより、文春側に計880万円の賠償が命じられた。

東京高裁の判決では文春側が一部勝訴に

 しかし、2003年5月の東京高裁(矢崎秀一裁判長)の判決では一転して文春側が一部勝訴したのだ。  高裁は、未成年の所属タレントが、ジャニー喜多川氏の自宅に訪れた際に何回か性加害を受けたという供述は「セクハラ行為を受けた時期を特定しうる事情を供述しているものというべきである」とし、さらに「原告らは具体的な反論、反証を行っていない」として、真実性の証明がなされたと断じた。これにより、一部請求は認められたものの、文春側の賠償額は120万円と大幅に減額され、判決が確定した。
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松本氏の裁判で争点となるのは…
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2002年生まれ、都内某私立大に在籍中の現役学生。趣味は御神輿を担ぐこと。高校生の頃から裁判傍聴にハマり、傍聴歴6年、傍聴総数900件以上。有名事件から万引き事件、民事裁判など幅広く傍聴する雑食系マニア。その他、裁判記録の閲覧や行政文書の開示請求も行っている。
X(旧ツイッター):@Gakuse_Bocho

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