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ヤンキー男女が文通で出会う。90年代、雑誌の読者投稿ページは“SNS”だった

「文通希望」が大人気

文通希望

「文通希望」のページ

 雑誌の巻頭で暴走族を紹介するグラビアページより(ある意味で)人気があったのが「文通希望」でした。  今ではマッチングサイトなどを利用してスマホ片手に出会うことが可能ですが(見極める必要はあると思いますが)、当時、全国的な規模で友達や恋人を作りたい場合には、読者参加型雑誌の「文通希望」ページがいちばん効果的だったのです。  ティーンズロードの場合、文通希望ページに投稿してくる手紙だけでも1日平均30~50通。編集部員は送られてきた全ての手紙をチェックして、危険な内容が含まれていないか確認したうえで、問題なければ文通を希望する読者宛にその手紙を送ってあげるわけです。その作業だけで1日が終わってしまうこともあります。  ティーンズロードは雑誌ではありましたが、ある意味、若者たちをつなぐ「SNS」の役割も果たしていたのです。これによって実際に友達や仲間、恋人ができると、文通コーナーで「恋人ができました!」「ティーンズロードのお陰で人生が楽しくなりました!」など、お礼の手紙をいただくこともしばしばでした。  相手に届いて連絡が取れるようになるまでは、途方もなくアナログな工程と長い時間がかかるわけですが、そのぶん、成就した時の喜びもひとしおではなかったでしょうか。

「人のあたたかさ」を感じられた時代

ティーンズロード 現在のようにスマホひとつですぐにコミュニケーションがとれる時代とは全く異なるので、どんな言葉を選ぶべきか、必死に考えていたはずですし、それぞれの熱量はもちろん、出会いのありがたさも何十倍、いや、何百倍だったかもしれません。  デジタルとアナログ、どちらが良いかは人それぞれだと思います。ただ、少なくとも私は、気持ちを込めて手紙を書いていたあの頃は、「人のあたたかさ」を感じられた良い時代だったと思います。皆さんはどう思われるでしょうか。 <文/倉科典仁(大洋図書)>
伝説のレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』をはじめ、改造車だけを扱うクルマ雑誌『VIP club』や特攻服カタログ『BAMBO』、渋谷系ファッション雑誌『MEN’S KNUCKLE』など、数々の不良系雑誌の編集長を務めて社会現象を起こす。現在は、大洋図書発行の実話誌『実話ナックルズ』のYouTubeチャンネル「ナックルズTV」や、ギャル男雑誌『men’s egg』をWebで復活させたYouTubeチャンネル「men’s egg 公式」のプロデューサーとして活躍中。
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