“特攻服”に込められた暴走族の思い。まさに「自分そのもの」「青春の証」
こんにちは。伝説のレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』3代目編集長をやっていた倉科典仁と申します。ティーンズロードは1989年に創刊され、90年代には社会現象に。現在は廃刊となっておりますが、そんな本誌に10年以上携わっていました。
少し前に北九州市の成人式でヤンキー系の子たちが着ているド派手な衣装が海外でも評価されていると話題になりました。あのような袴は、彼らなりに一生に一度の成人式で思い出を残したいという気持ちのあらわれでしょう。
まぁ、良いか悪いかは別にして、いつの時代も若者たちは、大人になることに不安を抱えながら、様々なかたちで“自分”という存在を表現しようとするものです。
「特攻服」は、暴走族にとって言わばフォーマルウェアでもあります。いま思えば、平成時代の暴走族たちも自分を特攻服で表現していたように感じます。
それ以前、昭和の暴走族たちの特攻服はわりとシンプルで、刺繍に関しても自分たちのチーム名以外は「天上天下唯我独尊」「愛国烈士」「護国尊皇」などが定番でした。これがどんどんエスカレートしていき、自分の主張や短めの「詩」のようなものを全身に入れる人が増えていくのです。
もちろん「龍」や「桜」などを刺繍で施すことも多いのですが、それは当然、何十万円という高額になります。しかし自分の暴走族としてのこだわりや生き方などを刻み込むことで、まっさらだった布地に命が吹き込まれ、唯一無二の特攻服となるわけです。
彼らは、そのたったひとつのアイテムを完成させるために、真剣に言葉を絞り出し、刺繍の色やデザインを考えます。
そんな特攻服を着て仲間たちと時間を過ごしていくことで、「暴走族」という青春時代の思い出がすべて詰まったものとなっていく。まさに「自分そのもの」と言っても過言ではないでしょう。
今どきの方々からすると「犯罪行為をするためのコスチュームになんの意味があるの?」と思われるはずです。
たしかに、暴走は許されることではありませんので、一生懸命になる方向は間違っているのかもしれませんが、私は当時、「自分が若かった頃、ここまで一生懸命になれることがあったのか?」と、どこか羨ましく思ったことを覚えています。
彼ら(レディース含む)は、将来どう生きていくべきかも定まっていない、まだ不安定な時期のど真ん中にいて、大人たちに何を言われようとも必死になって、自分を表現しようとしていました。
暴走族たちの「特攻服」への思い
思いを込めて作る特攻服は「自分そのもの」
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伝説のレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』をはじめ、改造車だけを扱うクルマ雑誌『VIP club』や特攻服カタログ『BAMBO』、渋谷系ファッション雑誌『MEN’S KNUCKLE』など、数々の不良系雑誌の編集長を務めて社会現象を起こす。現在は、大洋図書発行の実話誌『実話ナックルズ』のYouTubeチャンネル「ナックルズTV」や、ギャル男雑誌『men’s egg』をWebで復活させたYouTubeチャンネル「men’s egg 公式」のプロデューサーとして活躍中。
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