更新日:2024年02月05日 16:28
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現代の“上納システム”に通じるしきたりも…“平安”じゃなかった『光る君へ』の時代

現代の“上納システム”に通じるしきたり

なぜスピリチュアルなのかというと、これは神とほとんどイコールの存在である天皇の権力システムに関わっているからだ。昔の天皇はびっくりするくらいやりたい放題が許された唯一の存在。 支配地域から献上されるものの中には、何と女性も含まれていた。それを采女(うねめ)といった。各地の特産品を食べるのと同様に、天皇は采女にも手を付ける。神と同格である天皇による、この“お手付け”は、言わば神聖な儀式。 まったく現代の価値観からは想像もつかない。でもこう考えてみるとどうだろう。芸能界を騒がせる某大物芸人をまるで古代の天皇に見立てた“上納システム”の実体は、おぞましいしきたりの現代版(?)と捉えられなくもないか……。

延々と続く「藤原氏の嫁がせ合戦」

話とにかく天皇を中心とする政治体制では、政治と性愛が表裏一体になっている。そこに目を付けたのが、天皇のサポート役となる摂政、関白の官職を独占する藤原氏だった。 藤原氏が栄華を極めた最大の理由は、先に指摘した通り、スピリチュアルな争いとしての嫁がせ合戦に勝利したことだ。自分が摂政、関白の地位につくために、天皇に娘を献上し、ライバルの娘たちより早く子どもを産ませる。 その子の摂政となり、政治を独占する。道長の父、兼家(演:段田安則)は、娘・詮子(演:吉田羊)を円融天皇(坂東巳之助)に入内させ一条天皇を産ませた。一条天皇のふたり目の后として道長は娘・彰子を入内させる。そのあとも次々、入内させる。嫁がせ合戦は延々続く。 そして彰子の女房として仕えたのが、紫式部(まひろ)である。彼女が道長の援助で作った『源氏物語』は、単なる恋愛譚ではなく、天皇システムに裏打ちされた政治ドラマ(闘争)として研究対象になっているほどだ。
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「大河ドラマ以上」に強烈で壮大なフィクション
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コラムニスト・音楽企画プロデューサー。クラシック音楽を専門とするプロダクションでR&B部門を立ち上げ、企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆。最近では解説番組出演の他、ドラマの脚本を書いている。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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