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日本のテーマパーク名で“使われている名詞”ベスト5 。3位「ランド」、2位「パーク」

なぜ「牧場」から「村」に変更したのか

 ちなみに、鬼怒川にあったウェスタン村のオーナーだった大南兼吉はヴィレッジ(=村)という名称について、次のように考えていたらしい。  昭和57年は、パークがそれまでの「鬼怒川ファミリー牧場」から「ウエスタン村」へ名称を変更した転換期でもあった。それは「これからはスクエア、ビレッジの時代がくる」と睨んだ大南氏の突然の発想で、その中の「ヴィレッジ」を訳して「村」としたのだろう。ウェスタン村は長崎オランダ村よりも早く「村」という言葉をパークの名前に取り入れた(1982年)。  でも、「スクエア」「ヴィレッジ」の時代がくると睨んだのはどうしてだろうか。

「村=ヴィレッジ」が華やかだった?

 これは私の推測だが、これは「ワシントンスクエア」や「グリニッジ・ヴィレッジ」といったアメリカの街区の名前に由来しているのではないだろうか。ウェスタン村を創立した大南は、アメリカへの憧れが強かったらしく、それが「ウェスタン村」を作らせた。アメリカ視察も重ねていた大南にとって、こうしたアメリカの名所は、彼の心を捉えて離さなかったのかもしれない。  グリニッチ・ヴィレッジは、アメリカ東海岸におけるヒッピー・カルチャーの中心地として日本でも戦後の早い段階から紹介されていて、こうした「ヴィレッジ」イメージが、外国の街並みを復元しようとした日本のテーマパークと合致したのかもしれない。  日本語で「村」というと、どうしても前近代的なイメージを帯びていて、外国のキラキラしたイメージとは合わないようにも感じるが、意外と「ヴィレッジ」イメージが華やかだった頃があるのかもしれない。  というわけで、テーマパークの名前で使われていることが多い言葉の上位5つを見てきた。テーマパークの名前には、当時の時代状況やトレンドなどが刻み込まれているのかもしれない。 <TEXT/谷頭和希>
ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
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