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「ヤンキー雑誌」を読む人に“実は普通の男女が多かった”意外なワケ

「読者が作っている雑誌」だった

ティーンズロード

『ティーンズロード』の表紙

 編集部員は手紙のすべてに目を通し、そのうえで企画や特集を考えていました。まさに「読者参加型雑誌」。いや、「読者が作っている雑誌」と言っても過言ではなかったと思います。  思春期の若い子たちが何かに怒りを感じたり、悲しんだり、悩んだりしながら、共感してくれる友達を求めていることは事実です。それは今も昔も変わらないと思います。その結果、非行に走る子もいれば、ただただ一人で自分の殻に閉じこもってしまう子もいます。もしかするとティーンズロードは、そんな若い子たちの居場所(発言の場)だったのかもしれないと思っています。  暴走行為などの犯罪は決して許されることではありませんが、そういう子たちの心の扉を開いてみれば、10代の未成熟な若者にかわりはないのです。

「根っからの悪人」はいない

 私がティーンズロードを作っていた約10年間で、怖い思いをしたことは何度もありますが、取材対象であるレディース暴走族たちの大半は、撮影が終わった途端に普通の女の子に戻ります。  自分たちを理解しようとしてくれる人たちには、素直に明るく接してくるという印象しかありません。もちろん全員がそうだとは言いませんが、少なくとも私が見た限り「根っからの悪人」は存在していませんでした。  もちろん、親や学校、友人など、育ってきた環境によって人それぞれで違いますし、彼女たちの気持ちをすべて理解して、わがままを許したりすることはできません。ただ、ティーンズロードはそういう子たちにとって、主張の場になっていたような気がします。  私の個人的な感覚で言えば、平成の「ヤンキー雑誌」は、ヤンキーの枠には収まらない「10代の子どもたちの居場所」、まさに「ティーンズロード(10代の少年少女たちの道)」だったのではと思います。私は、そんな雑誌に携われたことに今でも感謝しています。 <文/倉科典仁(大洋図書)>
伝説のレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』をはじめ、改造車だけを扱うクルマ雑誌『VIP club』や特攻服カタログ『BAMBO』、渋谷系ファッション雑誌『MEN’S KNUCKLE』など、数々の不良系雑誌の編集長を務めて社会現象を起こす。現在は、大洋図書発行の実話誌『実話ナックルズ』のYouTubeチャンネル「ナックルズTV」や、ギャル男雑誌『men’s egg』をWebで復活させたYouTubeチャンネル「men’s egg 公式」のプロデューサーとして活躍中。
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