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“令和の山口百恵”が降臨する『不適切にもほどがある!』筆者が「絶対に売れる」と確信した出来事

“二面性”こそが最大の魅力

純子が中森明菜風の見た目にビジュアライズしたのは、憧れのツッパリ、ムッチ先輩こと秋津睦実(磯村勇斗)のためだ。なるほど、鬱陶しい父親には憎たらしく振る舞い続けるが、好きな人の前では口元がほころぶ。 この二面性にこそ、河合優実という俳優最大の魅力が隠されているように思う。特段、豊かな表情で勝負するタイプではない。どちらかといえば、感情の起伏がすくないキャラクターを演じることが多く、それが表情にも表面化している。 そんな彼女が、ある瞬間、偶然を装ったかのように笑ってみせる。その笑顔には新鮮な驚きがある。筆者が自動販売機前で見た微笑も同様。例えるなら、まさに、クールな状態を保ち続ける中森明菜が、どっこい、歌い終わりに微笑む松田聖子に様変わりするみたいな。実際、純子の前髪はどちらかというと聖子ちゃんカットだし、SNS上では“令和の山口百恵”と評判だ。 いずれにしろ、どこかレトロな雰囲気をまとわせ、80年代アイドル歌手を代表するツートップの佇まいを両方持っているってことか。懐かしくも新しい佇まいの河合が、令和最有力の若手俳優としてひた走る。1981年に『スター誕生!』(日本テレビ)3度目の出場で最高得点を叩き出しデビューした中森明菜を模写するかのように、本作をスターへの第一歩とする。この事実が面白いじゃないか。 <TEXT/加賀谷健>
コラムニスト・音楽企画プロデューサー。クラシック音楽を専門とするプロダクションでR&B部門を立ち上げ、企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆。最近では解説番組出演の他、ドラマの脚本を書いている。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
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