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貧困家庭から東大合格「塾通いは認められず、参考書を買うカネもない」

独学だけで東大に合格した勉強術

それでも彼が東大に進もうとした理由は、なんでしょうか。 「私は、自分の置かれている教育環境がよくないことに自覚的でした。塾に通えていれば、もっと気軽に参考書を買えていれば、と何度思ったことか。そして、私と同じような経験をしている受験生たちは、全国にたくさんいるはずなんです。彼らも同じ悩みを抱えているはず。そうした人たちに、質の高い教育を届けられるようになりたいんです。そのために、一流大学である東京大学に行けば、チャンスができるのではないかと考えました」 もしかしたら、東大に行けば、自分と同じような苦学生が……という淡い思いを持ち合わせつつ、合格した東京大学には富裕層出身のエリートばかり。彼が愕然としたであろうことは想像に難くありません。 独学だけで東大に合格した、彼の勉強術についても伺います。 「基本的には、参考書とYouTubeを活用していました。受験勉強についての動画はたくさんあるので、研究資料には困らなかった。 また、英語についてはシャドーイングがお勧め。シャドーイングとは、読まれた英文を聞こえた通りにオウム返しする練習法。これで、リスニング能力、速読能力、構文把握能力が身に着けられる」 シャドーイングは、自分が難しいと感じる程度の問題集から始めるといいそうです。まずは一度普通に問題を解いて、丸付けをし、解説を読んで理解します。そのあとから行うと効果的とのこと。 その際には、解説を意識しながら読むことが重要だといいます。今読んでいる文章は、どんな構文だったか。ひとつひとつの“it”が何を意味しているのか。どこを意識しながら和訳すると自然な日本語訳になるのか。これらすべてに気を払いながら読んでいくことで理解度が上がるそうです。聞こえてきた音をオウム返しするのがシャドーイングですが、本当に何も考えずに音を繰り返しているだけでは、あまり意味がないそうなので、注意してください。 彼は東大に来てから、教育格差や経済格差を実感したと語っています。しかし、その傍らには環境に恵まれなかった人も確かにいて、日本の教育について意見を交わしあっている。東大に入るまでは努力すれば行けると考えていた菅井さんですが、入ってからは金銭に余裕がないと厳しい面があると考えるようになりました。 卒業後には、苦学生たちを支援するような活動に従事していきたいと語る菅井さん。これからの活躍に期待です。 <取材・文/布施川天馬>
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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