更新日:2024年03月24日 10:02
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「2006年に閉園した遊園地」“ディズニーランドをパクった”施設が辿った数奇な軌跡――大反響トップ10

“東京ディズニーランドにはない”アトラクションが存在

また、ディズニーランドが影響を受けたのはチボリ公園だけではない。そもそもディズニーランドのテーマランドがモチーフにしている西部開拓時代の街並みや、ジャングルの風景、あるいはオーディオ・アニマトロニクスで作られた動物なども、すべて本物があってそれを似せるように作られているという点では「パクリ」だと言えるかもしれない。 そう考えてみると、ディズニーランドの「本物性」を保証しているのは一体何なのであろうか、と思ってしまう。もちろん、だからといって奈良ドリームランドの肩を持つわけではないが、この「パクリ」の問題をテーマパークを例にして考え始めると、どうしても複雑な問題が出てきてしまう。
奈良ドリームランド

奈良ドリームランドにあった外周鉄道(CC表示継承3.0)

加えて興味深いのは、奈良ドリームランドと東京ディズニーランドの関係である。奈良ドリームランドにはその園内をぐるりと一周する外周鉄道が存在した。これは、アナハイムのディズニーランドにあるディズニーランド鉄道をモチーフにしたものであり、鉄道好きであったウォルト・ディズニーの強い希望で作られたアトラクションだ。実はこの鉄道は、奈良ドリームランドにはあっても、東京ディズニーランドにはない。東京ディズニーランドにも「ウエスタンリバー鉄道」という鉄道をモチーフにしたアトラクションがあるが、あれは園内の一部をめぐる鉄道であり、その外周すべてをまわるものではない。

何が「ホンモノ」で何が「ニセモノ」か…

経営学者である小川功氏の推測によれば、これは東京ディズニーランド側が、すでにある奈良ドリームランドの外周鉄道をイメージさせないように忌避した結果だというが、そうなると、東京ディズニーランドよりも奈良ドリームランドの方が、本物のディズニーランドに近いアトラクションがある、という不思議な状況が生まれているわけだ。ここでも、何が「ホンモノ」で何が「ニセモノ」か、考え始めるとわけがわからなくなってくる。 奈良ドリームランドは、東京ディズニーランドが開園してから、その方向性を大きく変えていく。本家のディズニーランドが東京にできてしまっては、その施設としてのオリジナリティーが薄れてしまうからだ。平たくいえば、東京ディズニーランドとの「差異化」がはかられた。
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「眠れる森の美女の城」をモチーフにしたお化け屋敷が
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ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
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