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32歳自閉症の息子を抱えるシングルマザーが「障害者手帳を取ったら人生負け」の考えを改めたワケ

「障害者手帳を取ったら人生負けと思っていた」

 佐藤さんの症状はいったん寛解するものの、定期的に再発を繰り返す。このまま治らなければ、最悪、人工肛門にということもあり得る。そんななかでも大学で軽音部に入り、1年生の時にバンドマンの恋人ができた。 「環境が変わり、好きな音楽に打ち込めるようになりました。だけど、大学時代にも、2回入院しています。お酒や辛いものを控えて、体調をコントロールするんですけど」  入院は1回に付き2週間ほどだ。再発の原因は不明だ。今はいい薬が出てきているものの、特効薬はない。佐藤さんは大学を卒業するのに5年かかっている。佐藤さんの病状であれば身体障害者手帳を取れたのではないか。 「病院のケースワーカーから障害者手帳と障害年金を受給することを勧められました。だけど、その時は障害者手帳を取ったら、人生負けだと思っていたので、取りませんでした

転機となったイギリスへの留学

佐藤加根子

「一般社団法人障害のある子のライフプランサポート協会」代表となった佐藤さん

 英国ロックが好きだったこともあり、卒業旅行で、単身イギリスに旅をした。それが転機となり、病状はかなりよくなった。 「イギリスでは目的も特になく、音楽を通じて知り合った友だちの家を渡り歩きました。語学留学に行って、初めて自分の居場所が見つかりました。イギリスでは当時まだ日本人は珍しかったこともあり、私はかわいがってもらえました。この経験があったから、後に、自分の子に障害があると分かった時に受け入れられました」  何があっても前向きに生きていける自信がついた佐藤さんは、シングルマザーで障害のある息子を抱えながらも仕事を続け、2020年に今の法人を立ち上げた。士業や福祉支援者のネットワークを作り、障害者ある子の「親亡きあと」も安心できる準備について、セミナーや個別相談を通して情報提供している。
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特に営業マンにとってはつらい病気
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立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1

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