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「強迫観念を相手にしたらダメ」38歳漫画家が“強迫性障害の治療”でわかった意外なこと

苦しみを笑いに変えないとやってられない

強迫性障害

『強迫性障害です!』より(C)みやざき明日香/星和書店

――強迫性障害の当事者としての経験を漫画で描こうと思ったのは、なぜですか。 みやざき:10年以上強迫性障害に苦しみましたが、その時間は「無駄」ではない、「経験」だ。「経験」を漫画に活かさなければ、と思いました。この病気のことを伝えたかったですし。私が『強迫性障害です!』(星和書店)を描いた当時、当事者が描いた漫画がなかったので「私が第一号になってやる」と思ったんです。 ――強迫性障害についての作品を発表されて、どのような反響がありましたか。 みやざき:たくさんのファンレターをいただき、本当に嬉しかったです。「こんなにも多くの人が強迫性障害に悩んでいるのか」と驚きました。(当事者である)子どもさんから手書きのお手紙をいただくこともあります。小さい子どもの患者さんのことを思うと苦しいです。大人でも、症状を言葉で上手く伝えるのが難しい病気なんです。周りの大人が早く気付いてあげられるといいですね。

強迫性障害を正しく伝える難しさ

――強迫性障害についてあまり認知されていない理由は、どんなところにあると思いますか。 みやざき:「恥ずかしいから」というのが理由のひとつじゃないかと思います。何度も確認したり、自分で作った儀式的な行為を繰り返したり、患者さん自身も「おかしい」って思ってます。恥ずかしいから、強迫行為は基本的に隠して行います。  それから、この病気のことを言語化して伝えるのが難しいということ。患者さんの中には「これがこうなることが怖い」「だからこの行為をする」といった理論のようなものがありますが、それをこの病気ではない人が想像するのは難しいのではないでしょうか(はたから見れば無茶な理論ですし……)。  アメリカでは、おそらく日本よりもこの病気のことが知られているのでしょう、強迫性障害を抱えた人が主人公の映画やドラマがあるんですよ。有名な映画として、『アビエイター』や『恋愛小説家』が挙げられます。  日本のテレビ番組などでは強迫性障害の症例がほとんど紹介されないんですよね。取り上げられても、「潔癖症」として扱われたり……。日本人に強迫性障害と伝えても分かりにくいからそのような取り上げられ方をしているのかもしれませんが、正しく伝えられていないと認知も広がらないですよね。
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大阪府出身。外資系金融機関で広報業務に従事した後に、フリーのライター・編集者として独立。マネー分野を得意としながらも、ライフやエンタメなど幅広く執筆中。ファイナンシャルプランナー(AFP)。X(旧Twitter):@COstyle

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