お金

“斜陽の出版業界”で唯一儲かっている電子コミック。好調の各社と「売上高が大幅減少する」企業で分かれた明暗

LINEマンガの「一部業務引き上げ」で打撃を受けたのは…

 苦戦しているのが電子書籍の流通支援をしているメディアドゥ。電子書籍を提供する会社と出版社を繋ぎ、円滑にコンテンツが流通する仕組みを構築しています。大口顧客の一つがコミックシーモアのNTTソルマーレです。  メディアドゥは2022年2月期に売上高が過去最高の1047億円に達しました。しかし、2023年2月期は2.9%の減収。2024年2月期は1000億円での着地を見込んでいます。  減収の主要因がLINEマンガとの取引が細くなっていること。LINEマンガを運営するLINE Digital Frontierは、2021年に「ebookjapan」のイーブックイニシアティブジャパンにTOBを実施。2022年に完全子会社化しています。  メディアドゥの主要な顧客の一つがLINE Digital Frontierでした。しかし、LINE Digital Frontierが流通業務の一部をメディアドゥからイーブックイニシアティブジャパンに切り替えたことにより、メディアドゥの売上高が大幅に減少してしまったのです。  電子コミックは市場拡大が続いており、再編が起こりやすい土壌が形成されています。メディアドゥはその影響をもろに受けました。  今後は基幹事業を盤石なものに整備しつつ、傘下にある日本文芸社や小説投稿サイトのエブリスタなどからヒット作を生み出し、マルチメディア展開で業績を拡大する計画を立てています。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
1
2
3
おすすめ記事
ハッシュタグ