エンタメ

日テレ新番組「THEパニックGP」から見える“テレビから消えない芸人”の特徴

本当にガチで即興コントを作っているのか

 こういう番組の場合、真っ先に視聴者が思う事は「本当に“ガチ”で、即興でコントを作っているのか?」ということじゃないかと思うが、芸人が追い込まれるということが番組企画の根幹にあるので、当然、即興コントは「ガチ」で作られているだろう。  普通、テレビ番組を作るとき、出演者に丸投げをするということはやらないしできないと思う。「撮れ高」の担保がなければ、恐ろしくて企画を進める事はできないからだ。  むちゃぶりしても、きっと何とかしてくれるだろうという、芸人たちへの信頼の元に、「開演まで30秒!THEパニックGP」は成り立っている。その信頼は、売れる前は劇場で長い間一緒に過ごし、売れればバラエティー番組で交わり、自然と笑いのセンスのコンセンサスが取れている「芸人」という集団への信頼とも言えるだろう。  これは、同じ日テレの、同じ芸人丸投げ番組「有吉の壁」の成功によって、得ることができた、信頼であり、その信頼に基づく、新しい番組づくりの方法論なのだろうと感じた。

芸人は日本特有の文化に

 また、この番組で興味を惹かれる部分は、芸人それぞれの個性や、能力が透けて見えるところだ。さらば青春の光の森田哲夫は、ネタ作りの頭脳として、そしてその場の空気を読むリーダーとして、非常に信頼されているようだ。和田まんじゅうは、追い込まれれば追い込まれるほど、おもしろくなるポイントゲッターである。  ぱーてぃーちゃん信子は、あのルックス、喋り方でありながら、非常に気の利いたことば選びができる、意外な頭脳派だと知って驚いた。  それにしても、「芸人」と言われる人たちの集団は、なんとも奇妙な存在である。今や多くの若者が、人生を好転させるべく芸人になる道を選ぶ。熾烈な競争を繰り広げつつ、その一方で、かつてのヒッピーのように共同生活をして共に夢を追う。  最近になって特に、その変わり者たちの集団の分厚い層が露わになってきたように、私には感じられる。今や芸人は、漫画やアニメ以上に、ガラパゴス化した日本特有の文化のように思える。
1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina
1
2
おすすめ記事