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退職代行を利用した38歳「自力では辞められなかった」“家族経営”のブラック企業から抜け出すまで

 この4月に社会人デビューした人たちがすでに退職ラッシュをキメている。しかも自ら退職届を出すのではなく、「退職代行サービス」を利用しているという。  人気拡大中のサービスだけあって、利用方法はいたって簡単。代行業者と打ち合わせのうえ退職日を決め、料金を支払うと、業者が本人に代わって会社に退職の連絡をしてくれるのだ。彼らはなぜ業者にすがったのか、事情を探るべく直撃してみた。

毎日3時間以上サビ残、有休をとれたのは10年で2日

前原達哉さん(仮名・38歳)

前原達哉さん(仮名・38歳)。お子さんが2人いるも、収入は共働きで月収40万円。精神的に追い詰められ、「自力では辞められなかった」と振り返る

 地方の家族経営の機械商社に、営業事務として10年間勤めた前原達哉さん(仮名・38歳)は、昨年末に退職代行を使い、会社と縁を切った。 「従業員数は15人程度の地元の小さな会社です。毎日3時間以上残業して、残業代はゼロ。有休をとれたのは10年で2日。出退勤はカレンダーに印鑑を押すだけで、ずさんなものです。経営者は『タイムカードを入れたらおしまいだ。即、労基に潰される』と言うほどブラックな会社です」

退職希望者が出るたびに“見せしめ”

 月給は手取りで19万円弱。子供は0歳と2歳でまだ幼い。妻に働きに出てもらい、なんとか生活費を工面してきた。 「毎回退職希望者が出るたびに、経営者や幹部社員たちによる強引な引き留めがあるんです。会議室で4時間拘束されて、説教のような説得が続く。会議室の壁は薄く、会話は私たちのところにも筒抜けで、怒号や説教の内容が全部聞こえてくる。『辞めたいヤツはこうなるぞ』という“見せしめ”でもあったのでしょう。実際、私も退職を言い出せませんでしたし……」
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退職代行の存在に命を救われた
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