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新卒の“退職代行”利用者は1年で10倍に…退職代行モームリに聞いた、依頼件数が跳ね上がる「3つの日」

「退職代行モームリです。御社に勤務されている〇〇さんの退職の件で連絡しました」  退職代行サービス・モームリのオフィスでは、取材中もスタッフはひっきりなしに電話対応に追われていた。運営会社アルバトロス代表・谷本慎二氏が利用状況を話す。

退職代行の依頼は昨年の10倍近い

アルバトロス代表・谷本慎二氏

アルバトロス代表・谷本慎二氏。大学卒業後、接客サービス業に10年間従事。「前職では辞めるのに悩んでいる多くの人を見てきた」と創業を決意。退職代行のほかに転職サポートも行う

「4月1日から22日までの間に、988件の退職代行の依頼があり、うち新卒者からの依頼は153件です。昨年4月は全体で146件でしたので、このまま推移すれば、1年前と比べ依頼者数は全体で10倍近くになりそうです」  各社で入社式が行われた4月1日から新卒者の依頼は途切れずに続く。彼らが会社を去る理由は「会社側と新卒者のミスマッチ」だという。 「新卒者は期待や志が高い分、現実とのギャップに苦しむようです。具体的には『第3候補まで配属先の希望を提出したのにすべて叶わなかった』『新人は最低でも1時間以上早く出社するように求められた』などです」

利用者の割合は20代が全体の半数超

 退職代行の利用者の割合は、20代が全体の半数超を占める。背景を谷本氏は次のように分析する。
モームリのアンケート結果

退職代行モームリの利用者1637人のアンケート調査(’22年3月15日~’23年5月31日)

「やはりSNSの普及が大きな要因です。若者は自分の会社と他人の働く会社をすぐに比較できるようになり、自らの労働環境に違和感を持ちやすくなりました。しかし、例えば30年前に退職代行サービスがあったらどうだったかといえば、やはり流行っていたと思います。2万~3万円で仕事を辞める際の面倒ごとから解放されるのでしたら、誰だって依頼したいでしょう」
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認知が広がることで、若年層以外からのニーズも
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