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パートナーが疲れていそうだったので、休ませたら迷惑そうにされた。それに納得できない夫の言い分とは

「自由な時間を持てることが嬉しかったので、相手もそうだと思った」

 後日、Cさんはパートナーにニーズを確認してみた結果を教えてくれました。 「パートナーに、疲れている時には自分に何をしてほしいのか、それとなく聞いてみたんです。そうしたら、外食や外出などの『プラスアルファの提案』よりも、やらなきゃいけない家事を先回りしてやっておく『マイナスをゼロに戻す手助け』の方が嬉しいと言われました。  私自身は、自分の自由な時間を持てることが何よりうれしいので、すごく意外でした……。パートナーにしてみると、私から『自由にしていいよ』と言われても、私と子どもだけを残して外出するのも不安だし、帰宅したらやらなきゃいけない家事もいっぱいあると思うと、今は全く楽しめないみたいです。  自分としては、相手に良かれと思って精一杯やっていることが、逆に相手視点で見てみると、ズレていたり、全然だったりで……。自分の思い込みのひどさに気づき、愕然としました」  Cさんは、浮かない顔で話してくれました。  それを受けて、僕はCさんに言いました。

良かれと思ってやっても、相手がそれを望んでいなければ意味がない

「なるほど。Cさんのパートナーの今のニーズは、Cさんの予想とは違っていたのですね。確かに残念ではありますが、でも、パートナーのニーズや価値観などをこの機会にきちんと学び直すことができれば、これからパートナーを適切にケアできる機会も増えますね!」  すると、Cさんは 「そうですよね。今回、私はパートナーのニーズを読み間違えてしまいましたが、そのことを素直に認めてパートナーに謝罪し、この機会に学び直したらいいんですよね。今回の失敗と反省を生かして、またパートナーのケアにチャレンジしてみます!」  と、少し晴れ晴れした表情で力強く語ってくれました。 <被害者かもしれないあなたへ>  相手がどれだけあなたのことを思って行動していたとしても、あなたが「嫌だ」とか「やめてほしい」と感じるのであれば、そうした自分の気持ちを相手にシェアすること(自己開示)自体には何の問題もありません。むしろ、あなたの反応が相手の期待していたものと違っていた際に、急に不機嫌になり、「なんで?」と問い詰めてくるような人たちは高確率であなたを傷つけます。  以前の記事(「パートナーを傷つけてまで優先される“正論”はない」)にも書きましたが、パートナーを傷つけてまで許される”正論”はありません。  何度も相手にフィードバックしているにも関わらず、相手があなたの感じ方や価値観を全く尊重せず、一方的に相手の価値観や感じ方を押し付けてくるだけなのであれば、一度、(自分の周りの人ではなく)専門家に相談してみることを強く推奨します。  さまざまな専門機関や相談窓口がありますので、ぜひ「モラハラ 被害」「DV 被害」などで検索してみて下さい。
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大事なのは相手と自分のズレを認め、学び直すこと
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DV・モラハラなど、人を傷つけておきながら自分は悪くないと考える「悪意のない加害者」の変容を目指すコミュニティ「GADHA」代表。自身もDV・モラハラ加害を行い、妻と離婚の危機を迎えた経験を持つ。加害者としての自覚を持ってカウンセリングを受け、自身もさまざまな関連知識を学習し、妻との気遣いあえる関係を再構築した。現在はそこで得られた知識を加害者変容理論としてまとめ、多くの加害者に届け、被害者が減ることを目指し活動中。大切な人を大切にする方法は学べる、人は変われると信じています。賛同下さる方は、ぜひGADHAの当事者会やプログラムにご参加ください。ツイッター:えいなか

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