更新日:2024年06月05日 16:34
お金

ハンバーガー業界で“圧倒的な差”をつけるマクドナルド。業界2位のモスバーガーに勝ち目はあるか

フランチャイズモデルに見る両社の違い

 マクドナルドの総店舗数は2951店だが、そのうち7割はフランチャイズである。かつては本部の管理統制を重視するために、ほとんどが直営店であったが、経営効率化として全国各地で直営店のFC化を進めた結果、逆転現象が起きている。  一方のモスバーガーは2024年4月末日時点で、総店舗数1341店(直営6店、FC1268店)となっており、海外は451店展開している。  そもそも経営リスクはFC加盟店が取り、本部は毎月の安定した固定費としてもらうといったビジネスモデルになっている。他社の経営資源を活用しながら店舗数を維持拡大できて、スケールメリットも享受できる。本部は労務管理を含めて店舗マネジメントの負担を軽減できるから、効率経営を実現できることになっている。

好立地のマクドナルド、不便な立地のモスバーガー

マクドナルド

ドライブスルーも便利なマクドナルド

 マクドナルドの売上利益のほとんどは、FCへの不動産の賃貸料・リース・売上に対するロイヤリティである。一方、モスバーガーは最初からFCビジネスを想定したパッケージモデルを開発していたからほとんどがFCである。  好立地のマクドナルド、不便な立地のモスバーガーとも言われている。マクドナルドはコストリーダーシップ戦略で、低価格で販売シェアを高めても確実に店の利益が確保できるようにしており、ロスリーダー的商品の販売で顧客吸引力を高めて、利益率の高いセット商品などで確実に利益が確保できるようにしている。またそういったことが可能になるよう合理的な体制を整備している。  モスバーガーは家賃が安く、固定費の負担が小さくて、加盟店オーナーが儲かる仕組みを提供し、経営理念共同体として確立していた。  以前、某チェーン店がリーダー企業が値下げして売上を急伸したのを見て、それに追随しようと合理的基盤が確立できていないのに、単に値下げした追随型ディスカウント戦略を展開し、経営が苦しくなった事例があった。単にその場しのぎの追随戦略はするべきではない。
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外食売上1位と経営の考えが全く違う!
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飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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