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北九州「成人式のド派手衣装」生みの親の“苦悩と逆転”。九州の恥から一転、NY個展へ

やってきた「虹キング」

 池田さんがド派手成人式の衣装を本格的に手掛けるようになったキッカケは、金さん・銀さんの来店から5年後の2008年頃。金さん・銀さん以降、「先輩より目立つように」と毎年レベルアップする派手な衣装の要望に応えてはいたが、“虹キング”の登場は別格だった。 「私が勝手に『虹キング』と呼んでいる彼は、レインボーの傘に7色の羽織袴のイメージ画を持ってお店にやってきました。このときも取引先の業者をあちこち当たりましたがどこにもなく、7色に染めるのは難しいため、7つの生地を縫い合わせて作ることにしたのです」  約1年かけて仕上げた衣装を見た虹キングは、とても喜んでくれたのだそう。そして、そんな彼らがとくに喜んだのが、当時発行されて人気だったタウン誌『おいらの街(おい街)』に掲載してもらうこと。ド派手衣装に身を包んだ成人式の写真を撮ってもらうことだった。 「でも、そのあとで『おい街』が廃刊になってしまい、みんなとても残念がっていたんです。そこで2010年頃、彼らの思い出になるような雑誌をと当店で 『みやびBOOK』を発刊。テレビに出たいという声もあったのでメディアにも取材してくれるよう申込みましたが、当時は実現しませんでした」

「けしからん!」「九州の恥」誹謗中傷の嵐

みやび小倉本店

『みやびBOOK 』

 このとき池田さんが取材してほしかったのは、思い思いの衣装で成人式に挑む彼らの晴れ舞台。ところが、このメディア出演は思わぬカタチで実現することになる。発行が続いていた『みやびBOOK』の中身を誰かが写真に取り、匿名掲示板にアップしたのだ。 「これが、2013年頃。一部の人たちがバカウケしてくれ、少しだけネットで話題になりました。そのあと、マツコ・デラックスさんと村上信五さんがMCを務める『月曜から夜ふかし』にも出演。それと同時に、苦情や誹謗中傷が一気に大きくなりました」  そして、「そんな恰好で成人式など、けしからん!」「九州の恥」といった厳しい声や「死んだらいいのに」といった誹謗中傷の嵐。「非難されるようなことは何もしていない」と自分を励ましつつも、しんどい時期を送っていた。
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ド派手成人式は“輩”の集まり?実態は…
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フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意

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