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日本は「ブレイキン」強豪国?世界2位の経験を持つ異色の弁護士ダンサーが語る

オリンピック競技への採用に賛否両論も

NONman(ダンサーネーム)こと石垣元庸氏「身体的特徴、感性、バックグラウンドなど、元々誰もが唯一無二ではありますが、踊りの中でどこまで自分を表現しきれるか、出し切れるかが評価されるわけです。選手は、どんなときでも自分らしくあれるよう日々自分と向き合っているんです。 その結果、選手一人ひとりの表現力が光り、多様性豊かなカルチャーが実現しています。本当に素晴らしいことです。憲法でも、個人の尊重と多様性は当たり前に謳われていますが、その当たり前が難しいのが現実。そのなかで、見事にそうした世界観を体感できるのがブレイキンなんです」 パフォーマンスも考え方も人それぞれ。そもそもオリンピック競技になったことについて、ブレイキン界隈では今も賛否両論がある。石垣氏は、それ自体が多様性であると示唆して言う。 「ブレイキンは懐の深いカルチャーなんです。いろんな意見や考え方があるのは当然のこと。だから、今回こうしてオリンピック競技に選ばれ、スポーツの一部になったことも懐深く受け止めて、これからも進化していくのだと思います」

どんな個性も尊重する「ブレイキン」の魅力

最後に、オリンピック競技でのブレイキンの楽しみ方や醍醐味を尋ねた。 「やはり勝ち負けよりも皆さんが見て『これ好きかも』とか『この人カッコいい』というように、何かしら感じるものを大切にしてほしいですね。それに勝敗の決まる競技ではあるんですが、選手たちはお互いの違いや個性を尊重し合っています。なので、パリでもバトルと呼ばれる試合が終わった後に、選手同士がリスペクトを示すシーンが何度となく見られるでしょう。そういった姿にもぜひ注目して、見て、何か感じてもらいたいなと思います」 音楽とダンスが融合し、どんな個性も認め合うストリートカルチャーのブレイキン。一人ひとりの選手たちは、オリンピックでどんな輝きを放つのか。その懐の深さと多様性豊かな世界観が見られることを心待ちにしたい。 【NONman氏プロフィール】 NONman(ダンサーネーム)こと石垣元庸氏1978年、愛知県生まれ。JDSF(公益社団法人日本ダンススポーツ連盟)のナショナルチームライフコーチを務めるなど、幅広くダンスカルチャーを支援している。大学時代にブレイキンに没頭。チーム『一撃』のメンバーとして、最高峰の大会『BATTLE OF THE YEAR』で’02年と’05年に日本王者、’05年の世界大会では準優勝に輝く。さらに弁護士を目指し、’10年に司法試験に合格 <取材・文/松山ようこ 撮影/西周喜>
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