最後に、オリンピック競技でのブレイキンの楽しみ方や醍醐味を尋ねた。
「やはり勝ち負けよりも皆さんが見て『これ好きかも』とか『この人カッコいい』というように、何かしら感じるものを大切にしてほしいですね。それに勝敗の決まる競技ではあるんですが、選手たちはお互いの違いや個性を尊重し合っています。なので、パリでもバトルと呼ばれる試合が終わった後に、選手同士がリスペクトを示すシーンが何度となく見られるでしょう。そういった姿にもぜひ注目して、見て、何か感じてもらいたいなと思います」
音楽とダンスが融合し、どんな個性も認め合うストリートカルチャーのブレイキン。一人ひとりの選手たちは、オリンピックでどんな輝きを放つのか。その懐の深さと多様性豊かな世界観が見られることを心待ちにしたい。
【NONman氏プロフィール】1978年、愛知県生まれ。JDSF(公益社団法人日本ダンススポーツ連盟)のナショナルチームライフコーチを務めるなど、幅広くダンスカルチャーを支援している。大学時代にブレイキンに没頭。チーム『一撃』のメンバーとして、最高峰の大会『BATTLE OF THE YEAR』で’02年と’05年に日本王者、’05年の世界大会では準優勝に輝く。さらに弁護士を目指し、’10年に司法試験に合格
<取材・文/松山ようこ 撮影/西周喜>