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「しゃぶ葉」がしゃぶしゃぶ食べ放題で“絶対的な存在感”を誇るワケ。グループ内でも筆頭成長株

すかいらーく、営業利益は2倍以上に!

 すかいらーくグループの2024年1-3月期は、売上高956億円(前年比+110億円)、営業利益61億円(前年比+65億円)と好調だ。こういった外部環境の追い風である外食需要の順調な回復に加え、メニュー戦略、店舗オペレーション、店舗開発戦略、DX推進を中心とした今後の成長に向けた事業基盤が整いつつあるとのことだ。  この食べ放題プランができるのは、やはりすかいらーくグループのスケールメリットとネットワークを活かし、効率的かつ安定的な調達を実現できているからだ。グループ約3100店のスケールメリットを活かし、世界中の生産者から厳選された高品質の食材を最適価格で調達するグローバルソーシングの仕組みを構築している。  調達先は世界40か国におよび、為替変動のリスクを最低限に抑制している。相場が高騰した食材に関しては、世界中のサプライヤーとのネットワークを最大限に活用し、産地変更などフレキシブルに対応して、顧客提供価値を損なわないように仕組化している。  また、すかいらーくはお客さんの利便性向上と従業員の生産性向上のために積極的にDXを推進している企業である。現金対応のセルフレジは約2400店舗に導入が完了し、お客の約70%がセルフレジやテーブル決済を使って会計を済ませている。お客の呼び出しや退店後の下げ物に着手する時間が短縮し、お待たせする時間の解消につなげている。

機械と人との分業システムを確立

すかいらーくグループのしゃぶ葉

しゃぶしゃぶ用タレやドレッシングもセルフサービスに

 来店後のご案内(入口に案内板)~注文(タブレット)~料理提供(配膳ロボット+料理バーはセルフ)と人手があまり必要にならないようにシステム化されている。いずれはしゃぶ葉もガストのように、セルフレジになってくることが予想される。人がやる仕事、デジタル機器がやる仕事を合理的に使い分けた機械と人との分業システムを確立して人件費を抑制した分を原材料の負担に配分しているようだ。  しゃぶ葉もクルー(アルバイト)中心の運営だが、すかいらーく傘下だけに厳格な管理がされている。飲食店経営は製造業と小売業の融合事業である。したがって、客数(新規客の誘致・既存顧客の来店促進)の伸び、客席回転率などの効率性、経費の大部分を占めるFLコスト(原価と人件費)、サービス評価などKPI(重要業績評価指数)の管理精度を高めることが重要だ。  特に人件費管理においては、正社員とクルーの時間による総労働時間を予測時間帯別売上に応じて適正に投入し、人時生産性を徹底管理している。もちろんセントラルキッチンの稼働率を高めて生産性を向上させることも忘れてはいけない。そして店舗では、最小限の作業で料理提供できるように業務の効率化がされている。  飲食店では60%以内に抑制することが重要になっているFLコスト(原価+人件費)。原価率をうまく低減させてもその分、人件費がかかっては利益が出ない。食材の共通化や半加工品をうまく活用し、食べられるメニュー数を増やして魅力度を向上させながら、原価と人件費を低下させているようだ。
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昔、しゃぶしゃぶは高級料理
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飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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