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「しゃぶ葉」がしゃぶしゃぶ食べ放題で“絶対的な存在感”を誇るワケ。グループ内でも筆頭成長株

昔、しゃぶしゃぶは高級料理

 昔、しゃぶしゃぶは、高級料理的な存在で、家庭で食べる機会はほぼなく、お店に行くとなれば富裕層しか行けなかった。1991年の牛肉輸入の自由化で安価で日本人の嗜好にあった米国産牛が大量に入ってきたことで、それらを扱う外食産業は大きく発展した。そして、以前は高級料理で食べる機会がなかったしゃぶしゃぶが、一般大衆でも食べられるようになったのである。  そういった市場環境において、1995年、老舗焼肉店が始めた若者向けのしゃぶしゃぶ食べ放題が話題になった。しゃぶしゃぶ食べ放題が市場の広がりを見せつつあるなか、牛角を運営するレインズは2000年から「しゃぶしゃぶ温野菜」を、ワンカルビが運営する「きんのぶた」は2006年から営業を開始し、一気に市場が拡大した。  しゃぶしゃぶ食べ放題の導入期頃はお肉の食べ放題のみだったが、新規に参入した競合他店は後から追随するために、先発者の提供内容に付加価値をつけて提供するのは当然で、何かしら先発者の内容に付加価値をつけて提供していた。野菜、ライスやうどんなど食べ放題の種類を増やしたり、価格を下げたりと仕掛けてきた。  今は一品メニュー(揚げ物・焼き物・煮物など)、麺飯類、デザートなども食べ放題にするなど顧客サービスがより拡充されている。一品料理なども食べ放題にして魅力度を高め集客力を高めてはいるが、実はお肉ばかり食べられないように原価対策をしていることは否めない。

ここまで安く提供できる功績は大きい

すかいらーくグループのしゃぶ葉 しかし、最近では輸入食材に依存している各店は円高による物価高騰に耐えきれなくなっており、価格が段階的に値上げされてきているのが実情だ。ワンランク上の食べ放題店の一品料理も食べ放題の店の中心価格は3500~5500円である。飲み放題1500円とのセット価格になれば、敷居が高くなっているのが実情だ。  そういったしゃぶしゃぶの歴史の中で、極限まで安く提供できているしゃぶ葉の功績は大きい。自分でお肉以外の料理やドリンクを取りに行くという負担があっても、3時間の食べ・飲み放題が3000円とは通常では考えられない。  和食さと、しゃぶしゃぶ温野菜、きんのぶたなど、ワンランク上の食べ放題店とは一線を画し、ポジショニングマップでも、棲み分けがされるだろう。しかし、しゃぶしゃぶ市場においての絶対的な存在感があり、さらに飛躍しそうな勢いだ。
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フードロス削減を目指したプロジェクトも開始
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飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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