「しゃぶ葉」がしゃぶしゃぶ食べ放題で“絶対的な存在感”を誇るワケ。グループ内でも筆頭成長株
すかいらーくグループの「しゃぶ葉」が人気だ。すかいらーくは、高度経済成長により生活水準が向上する中で、外食に対するニーズの高まりに対応するビジネスとして事業を拡大してきた。
すかいらーくグループの中ではガスト(1260店)、バーミヤン(357店)に次ぐ3番目の店舗数だ。しかし、中核ブランドのガストは1277店から1260店と17店舗減らし、バーミヤンは353店から357店と4店舗の微増だ。それだけにしゃぶ葉に力を入れているのが、店舗数の増減でも分かる。
【すかいらーくの業績(2021年~2023年)】
売上:3754億円→2646億円→3548億円
原価:1140億円→815億円→1149億円
粗利益:2613億円→1831億円→2399億円
原価率:30.4%→30.8%→32.4%
営業利益:2056億円→1821億円→1169億円
営業利益率:5.5%→6.9%→3.3%
しゃぶ葉では平日ディナー限定で、豚しゃぶ+寿司の食べ放題+飲み放題のプランを1人3000円(税込)、しかも通常2時間が主流の中で3時間で提供している。若い男女のグループ客に人気で、店は賑やかになっている。このプランは、家族客にも最適で、就学前の子供は無料となっており、小さな子供連れの家族には最高だと思う。
もちろん、宴会プランなので会社の宴会にも活用できる。筆者も実際に行き、飲食させてもらったが、サラダバーを見るとレタスやポテトサラダなどもあり、ドレッシングのカスタマイズ化も可能で、しゃぶしゃぶの薬味やタレ関係もバリエーション豊かに揃えてある。しかも、お肉たっぷりのカレーも食べ放題だ。
アルコール飲み放題も自動生ビールサーバーや各種サーバーで多数用意され、お酒飲みのお父さん連中は大喜びだ。自分で入れるには大変だという人もいるが、この物価高のなか、これだけ安く食べて飲めるのはありがたい。
もちろん、ゆったりと食事がしたいという高齢者の方々には向いていないかもしれない。だが、お子さんやお孫さんでご一緒に行く場合は、若い人が料理運びなどをやってくれるだろうし、賑やかでいいのではないかと思う。そういう大人数のファミリー向けにゆったりとした席も用意されている。
肉と寿司は好きな商品をタッチパネルで注文し、その他の野菜関係やうどん・カレーは料理卓に各自が取りに行くようになっている。一方で店側は、安く提供するために肉や寿司の提供は配膳ロボットをフル稼働だ。厨房も含めて、少人数の店員で対応しているが、それでも利益を出すのは大変なのではと心配する。
この一見、お客さんが得するだけの商品サービスの内容で、店側はやっていけるのかと思うが、そこはコロナ収束後、業績の回復が好調なすかいらーくの傘下だからできることだろう。
すかいらーくグループは、ロイヤルホスト、デニーズと並び、外食御三家として存在感を発揮し、外食を産業化した立役者でもある。フランチャイズ・システムなど、他人資源を活用して店舗数を拡大する外食チェーンが多いなか、あくまでも直営にこだわり、管理統制を厳格にする世界最大規模の直営ファミレスチェーンでもある。
その傘下のブランドである「しゃぶ葉」は、今年1月において279店舗だったが、5月には9店舗出店し、現在は288店と、グループ内でも業績も著しい伸長度を見せており、経営資源の配分度合いを高めている。
人気急上昇で店舗拡大の「しゃぶ葉」
お得感いっぱいの3時間食べ飲み放題プラン
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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