仕事

「手取りはほぼゼロに」定年後、再雇用を選んだ64歳の苦い思い出。現在は田舎に移住して「大満足」

60歳の定年前に独立、再雇用で65歳まで会社にしがみつく……。終わりが見えてきた会社員はどのような選択をすべきか。人生後半の明暗を分ける正しい終わり方を考えてみた。

再雇用を深く考えていなかった結果…

[会社員の終わり方]

緑に囲まれた自宅の庭で、PC作業に勤しむ岩本浩二さん(仮名・64歳)。町内会の書類作成などを一手に担う。元技術職だけにお手のものだ

日本の会社員の大多数は、収入が激減し、居心地の悪い職場になるのを知りながら、定年後に再雇用の道を選んでいる。実際に会社に残った人たちの声を紹介する。 ●岩本浩二さん(仮名・64歳) ソフトウェア会社技術職→再雇用を1年で退職→飲食チェーン店パート 退職時年収950万円→パート年収100万円 ===== 60歳の定年を迎えたタイミングで会社員人生を終える人はわずか12.5%――(’23年の厚労省調査)。つまり、その他の大多数は、再雇用を含む継続雇用を選択している。ソフトウェア会社に30年勤めた岩本浩二さん(仮名・64歳)もそんな一人だ。 「定年前に会社から『再雇用は給料が3分の1になる』と説明されましたが、正直深く考えていなかった。というのも、同期と比べ実績のある忙しい部署にいたから、最悪でも給料2割減ぐらいだろうと高をくくっていたんです」

老人扱いで働かせてくれない

ところが、会社の事前通告通り、再雇用後の月給はわずか13万円ほどに激減した。 「そればかりか、前年の収入が多かったため、住民税で月給のほとんどを持っていかれ、手取りはほぼゼロに。定年直後から、退職金を取り崩してしのぐほかはなかった……」 仕事を愛し真面目に取り組んできた岩本さんにとって、何よりつらかったのは職場での疎外感だったという。 「再雇用って、とにかく『やってはいけない』縛りだらけ。山ほど仕事が残っていても、『再雇用に残業はさせられない』と、私だけ帰らされる。もっと働きたいのに、『お前は年寄りだからこれ以上動くな!』と言われているようで本当に嫌でしたね。仕事って要望に応えられた達成感や成長こそがやりがいであり、喜びじゃないですか。それをすべて奪われ、部下にも年寄り扱いされることで、老いが加速するように感じました。やる気のある人には、再雇用は墓場も同然ですよ」
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30年にわたる会社員人生に自ら終止符を打つ
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