更新日:2024年12月06日 13:39
仕事

いつも閉院ギリギリに「お風呂に入ってから」来る女性患者にイライラ…“予想もしていなかった事情”に反省

「調子に乗るじゃない!」と思っていたが…

 そんなある日、閉院時間ギリギリにSさん以外の患者がひとりやってきて、玲奈さんが担当になり、すぐ近くで治療を受けていたSさんとベテランスタッフの会話が丸聞こえ。弾む会話の途中で、「すみません、いつも閉院ギリギリで……」とSさんの謝罪が聞こえてきた。 「すると、ベテランスタッフが『何をおっしゃいます? 時間内に来ていただいているので、まったく問題ないですよ』と驚いた様子で返したのです。私は『そんなこと言ったら、調子に乗るじゃない!』とイライラしながら、2人の会話に耳を澄ましていました」  そして玲奈さんは、このあと予想もしていなかったSさんの事情を耳にすることになる。Sさんは、ベテランスタッフの言葉に「そう言っていただけると、救われます。私たち肉体労働者は仕事のあと、自分でも嫌になるぐらい汗臭くなるんですよね」と返したのだ。 「続けて、『とくに、この暑い季節は気を遣います。だから、時間的にお風呂に入ってからでも通院できるこの病院は、すごくありがたいです』とも言ったのです。そこではじめて、Sさんが私たちスタッフに配慮してくれていたことを知りました

申し訳ない気持ちでいっぱい

クリニック 女性

※画像はイメージです

 頸椎捻挫と診断されていたSさんの治療では、肩にも治療用の電気をセットする。お風呂に入ってからの来院は、そのためだったのだ。その事実を知った玲奈さんは、申し訳ない気持ちでいっぱいになったとか。 「これこそ、想像力の欠如だと反省しました。自分の帰宅時間のことばかりを考え、もしかしたらSさんに何らかの事情があるかもしれないと想像できなかった自分が恥ずかしいです。このことがあってから、想像力を働かせるよう意識するようになりました」  そのように意識するようになってから、「他人の言動にイライラすることが減った」と話す玲奈さん。想像力を働かせて他人の事情に配慮する人が増えれば、“お互いをやさしく思いやる”そんな好循環にもつながるかもしれない。 <TEXT/夏川夏実>
ワクワクを求めて全国徘徊中。幽霊と宇宙人の存在に怯えながらも、都市伝説には興味津々。さまざまな分野を取材したいと考え、常にネタを探し続けるフリーライター。Twitter:@natukawanatumi5
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