恋愛・結婚

子供の塾を勝手に決めてきたパートナーへの怒り。しかし「相談できない状態」を作ったのは自分だった

「相談してほしい」と言いながら、一方的に相手に負担をかけていたAさん

 一口に「話をする」と言っても、趣味嗜好など単なるおしゃべりもあれば、悩みや困っていることなどの共有もあります。  悩みや困っていることなどは、そもそも何が問題なのかが自分でもよくわかっておらず、人と話をしているうちに整理されていく場合も少なくありません。  それなのに、思い切って相手に話すと「何を言いたいのかわからない」「整理してから話をしてほしい」と一蹴されたら、皆さんはどう感じますか?  自分としては精一杯努力し整理して話をしているつもりなのに、そのように言われ続けたとしたらどうでしょうか?  自分自身が一方的にジャッジされるばかりなのであれば、だんだんと相手に話したり相談したりするのが億劫になるであろうことは想像に難くありません。  つまり、Aさんは「大事なことは一緒に決めたい」「事前に相談してほしい」と口にしてはいるものの、  1. 自分が興味・関心のないことについては「どうでもいいこと」として、パートナーのニーズや価値観を蔑ろにし、  2. 「お互いのため」と言いつつ(自分自身の理解責任を放棄し)相手に説明責任や負担を一方的に押し付けている状態、  すなわち、(Aさんが意図している/していないに関わらず)「俺の意見やルールに従え!」とパートナーに上下関係を強要してしまっている可能性が非常に高いのです。

Aさんのパートナー視点からは、まったく別の姿が見えていた?

 そのため、この相談はAさんのパートナーの視点からは、次のように見えている可能性があります。 「『大事なことは一緒に決めたい』って言うから、子どもの塾のこととか事前に相談しようと話しかけているのに、いつも『忙しい』とか『時間がない』とか言うばかりで、そもそも相談するための時間を取ってくれないんです。たまに話ができても『何が言いたいのかわからない』『整理してから話をしてほしい』って……失礼ですよね!   それなのに、私が整理してから話をすると、『勝手に決めてくるな』と怒り出したり、『いつも君は相談しないよね』とか嫌味を言い出したりしてくるんです。ひどいと思いませんか? こちらのことを理解しようとしないで、自分の感じ方や考え方を一方的に押し付けてくるような人とは一緒に暮らしていけません」  僕は、Aさんの言動に違和感を感じたので、確認してみました。 「なるほど。Aさんとしては、パートナーと一緒に子どもの塾のことを決めたかったんですね?」 「はい。そうです」とAさんは答えてくれました。 「普段は仕事で忙しく、家のことや子どものこともあるので、お互い自分の時間もなかなか取れないんです。だから、子どもの塾のことを相談し決めるのにかかる時間を少しでも減らせるように、事前にポイントを絞って相談してもらえる方がお互いにメリットがあると思うんです」 僕は、Aさんに質問してみました。 「そうでしたか。では、今回、Aさんのパートナーが子どもの塾のことを決めるにあたり、Aさんに事前に相談しなかったのはなぜだと思いますか?」 「え……うーん……」  Aさんの表情が少し曇りました。
次のページ
相談は、最初から答えが決まっているとは限らない
1
2
3
4
DV・モラハラなど、人を傷つけておきながら自分は悪くないと考える「悪意のない加害者」の変容を目指すコミュニティ「GADHA」代表。自身もDV・モラハラ加害を行い、妻と離婚の危機を迎えた経験を持つ。加害者としての自覚を持ってカウンセリングを受け、自身もさまざまな関連知識を学習し、妻との気遣いあえる関係を再構築した。現在はそこで得られた知識を加害者変容理論としてまとめ、多くの加害者に届け、被害者が減ることを目指し活動中。大切な人を大切にする方法は学べる、人は変われると信じています。賛同下さる方は、ぜひGADHAの当事者会やプログラムにご参加ください。ツイッター:えいなか

孤独になることば、人と生きることば孤独になることば、人と生きることば

モラハラ、パワハラ、DV
人間関係は“ことば”で決まる


記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ