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「ミヤネ屋」と「ゴゴスマ」、視聴率バトルで明暗クッキリ。MCもゲストも“攻めの姿勢”が招いた誤算とは

若く醜聞のないライバル番組のMCたち

 今後の宮根氏は格下のはずだった『ゴゴスマ』の後塵を拝しながら、『ミヤネ屋』のMCを続けることになるだろう。自分に落ち度があるとはいえ、愉快ではないはずだ。 『ミヤネ屋』の視聴率は今後、さらに落ちるという見方がある。『ゴゴスマ』は名古屋のCBCの制作だが、フジテレビが大阪・関西テレビの制作する関西ローカルの情報番組『旬感LIVE とれたてっ!』(同午後1時50分~同2時45分 以下、とれたてっ!)を放送する可能性があるからだ。 『とれたてっ!』の東京での放送が実現すると『ミヤネ屋』と『ゴゴスマ』とのマッチレースは三つ巴の争いになる。『とれたてっ!』のMCは元日テレアナの青木源太氏(41)。61歳で過去にゴシップのある宮根氏に対し、40代の石井氏と青木氏には醜聞がない。宮根氏にとって楽な戦いになるとは考えにくい。  3番組のカラーはかなり異なる。『ミヤネ屋』は宮根氏を中心に攻めの姿勢。コメンテーターも梅沢富美男(73)アンミカ(52)らファイタータイプが目立ち、番組のオピニオンがはっきりしている。 『ゴゴスマ』の石井氏はソフト。コメンテーターもますだおかだの岡田圭右(55)や元A.B.C-Zの河合郁人(36)ら穏健派ぞろい。石井氏とコメンテーター、視聴者が社会問題を一緒に考えるスタイルだ。 『とれたてっ!』の青木氏もソフト。昭和後期に流行した物や音楽を紹介する「青春昭和遺産」など企画色の強いコーナーが多い。

BPO申し立ての行方は?

 一方、『ミヤネ屋』は7月、お笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志(60)の代理人弁護士から抗議された。松本が『週刊文春』の報道をめぐって同誌と民事訴訟で争っている件について、番組内容が松本氏の名誉権の侵害を助長したという。  松本側は主に『ミヤネ屋』のコメンテーター2人の発言を問題視している。この番組に限らず、コメンテーターの発言はコントロールが効かず、深慮に欠けることもあるので、難しい。攻めの姿勢を売り物とする番組は特にそうだ。  松本側はBPO(放送倫理・番組向上機構)への申し立ても検討しているという。一方、読売テレビ・松田陽三社長は定例会見で「事実関係で誤解があると思う」と語り、謝罪や訂正をする用意はないとしている。  万一、BPOが申し立てについて審議入りし、番組内容が人権侵害などに当たると判断された場合、『ミヤネ屋』は岐路に立たされる。BPOが問題視した番組は謝罪や番組内容の修正程度で済む場合もあるが、終了を余儀なくされる場合もある。スポンサーの離脱などが原因だ。  そうでなくてもBPOが問題視すると、イメージがガタ落ちとなってしまい、多くのケースで視聴率が下がってしまう。『ミヤネ屋』についてはBPO問題からも目が離せない。 <文/高堀冬彦>
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員
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