更新日:2024年08月20日 11:41
お金

“ラーメン税”を外国人観光客から徴収すべき理由「年間100億円の税収は期待できる」

税収は少なく見積もっても100億円に

前提として、ラーメンのようなインバウンド観光客に人気のコンテンツは地域に人を呼び込む送客装置であり、これによってその周辺地域や住民にも利益をもたらす経済学でいう正の外部性を伴う。 ただ、ダイナミックプライシングによって値付けられた商品・サービスの売上はその提供者(店舗)のみが利益を得る仕組みである。これに対し、ラーメン税の場合、税収の使い道は店舗以外にも地域住民など多岐にわたって還元できる。 よって、そのインパクトはラーメン店のみにとどまらないため、日本のインバウンド向け施策として大きな効果が期待できるのだ。 最後に、軽くその税収試算を試算してみよう。現在日本全国にラーメン店は約25,000店舗あり、全体で年間約6,000億円の売上となっている。仮にラーメン税が10%なら600億円の税収となる。 とはいえ、インバウンド観光客が全国すべてのラーメン店を訪れるわけではない。そのため、ラーメン税の税収がある店舗が15〜16%と見積もっても、先ほど紹介した京都市の宿泊税と同額の年間100億円の税収は期待できるだろう。 先述の通り、各自治体が法定外目的税の制度設計を活用すれば、その税収はインバウント観光客だけでなく、地域住民も恩恵を受けるインフラ整備に活用できる。

制度設計でオーバーツーリズム解消以上の効果も

念のため伝えると、筆者は増え続けるインバウンド観光客に対し、ラーメン税を導入することのみを主張したいわけではない。現在のオーバーツーリズムがもたらす負の外部性を、制度設計によって解決すべきだというのが本稿で伝えたいことだ。 外国人観光客から人気を集める商品・サービスに対しては、新たな収入源を確保し、それを当該商品・サービスのインフラ整備に投資することで、正の外部性を充実させること。これが長期的に日本のプレゼンスを高めるために得策であると筆者は考える。 <TEXT/田中謙伍>
EC・D2Cコンサルタント、Amazon研究家、株式会社GROOVE CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社、出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げを経験。マーケティングマネージャーとしてAmazonスポンサープロダクト広告の立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。Youtubeチャンネル「たなけんのEC大学」を運営。紀州漆器(山家漆器店)など地方の伝統工芸の再生や、老舗刃物メーカー(貝印)のEC進出支援にも積極的に取り組む。幼少期からの鉄道好きの延長で月10日以上は日本全国を旅している
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