更新日:2024年08月15日 17:21
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「東京の離島」と「石垣島や宮古島」で分かれた明暗。“観光資源に差がない”のに観光客数が伸び悩む理由

「1973年の絶頂期」から下降線を辿っている

 日本は1970年代にかけて離島ブームが起こり、大島は1973年に観光客数が83万人を超えて絶頂期を迎えます。しかし、そこから下降線を辿ることとなりました。  東京都は2023年度から2032年度までの「東京都離島振興計画」を策定しています。これは伊豆諸島地域の振興の方向性を示すもの。観光振興における10年後の姿として、「島のアクティビティ開発が進み、宿泊施設の多様化が図られ、都民や国内外の旅行者を魅了できる環境が醸成されている。」という項目を盛り込んでいます。  東京都は、町村等が実施する宿泊施設の誘致や整備、滞在価値向上のための取り組みを支援するとしています。また、廃ホテルの撤去や跡地の活用もバックアップする予定です。

小笠原空港は幻で終わるのか?

 伊豆諸島や小笠原諸島は、認知度が高くないという最大の課題を抱えています。これは観光客だけでなく、ビジネスに関わる人も同じ。宿泊施設などの開発を行うディベロッパーは、土地の所有権や地形、インフラ、物流など、離島にまつわる情報が足りていません。これは資金を提供する金融機関も同様でしょう。  島内は小規模事業者が宿泊施設、飲食店などを経営しているため、リゾート開発などの大きな絵を描ける事業者が少ないという課題もあります。  海外観光客が増加していることや、円安で日本人が海外旅行をしづらい傾向が続く今こそ、東京都の離島を開発する意義は大きいでしょう。  小笠原村では空港建設計画が立ち上がり、島民悲願の空路開拓に向けて前進しました。しかし、世界自然遺産に登録されたために生態系に影響を与えるわけにもいかず、計画は暗礁に乗り上げています。東海汽船にとっては小笠原諸島への輸送手段の独占状態が終わるものの、観光産業が盛り上がれば船での周辺の島への移動が活発になり、恩恵は多いはず。空港開発は東京諸島の観光業を大きく変えるインパクトを持っていますが、現在はまだ検討段階として前に進む様子はありません。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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