ライフ

「住人の精神を蝕む家」には共通した要素が。一級建築士が伝えたい「風水よりも大切なもの」

なぜか「なかなか恋愛できない女性」が住むマンション

「八納さん、私の住んでいるマンションなのですが、何か呪われているのでしょうか?」 家相鑑定(日本の風水)の相談で来た女性が、こう切り出しました。 よくよく話を聞いてみると、「素敵だな」と思う人とデートしても、自宅に帰るとその気持ちが妙に冷めてしまう。つまり恋愛が長続きしないとのことで、「家が私のことを呪っているのではないか?」という趣旨の相談でした。 しかし、家相的に見ても特に問題のない間取り。その旨を、彼女にも伝えたところ「じゃ、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?」と相当困惑した様子に。 そこで私はふと「このマンションを購入したのは10年ぐらい前だと言われていましたが、なぜこのマンションを購入したのですか?」と尋ねました。

買った理由は「一生一人で暮らすため」だった

不意を突かれた様子で、一瞬考えこんだ後、ハッとして私は次のように言いました。 「すっかり忘れていましたが、このマンションは婚約破棄をされたことの腹いせで購入しました。一生一人で暮らしていこうと思って……」 彼女も、そのことを思い出し、ぞっとした表情を浮かべていました。私はこう返します。 「でも、時が経つにつれて、当初の決意を忘れ、新たに恋愛したい思いが募ってきて。再び恋愛するようになったんですね。だから、家に帰ると妙に気持ちが盛り下がったのですね」 彼女もそれに納得した様子でした。しかし、彼女の不安は募るばかりです。 「この家に住んでいる限り私は恋愛できないのでしょうか?」 それに対して、次のように伝えました。 「当初の動機を思い出したことで、呪縛は半分外れたと思います。ですので、この家に住んでいても恋愛していいし、パートナーとこの家に一緒に暮らしてもいいと強くイメージしてみてください」 その後、彼女は無事「長期的な恋愛」が出来るようになったと聞いています。  
次のページ
「風水が完璧な家」に引っ越ししたのに…
1
2
3
4
1970年、神戸市生まれ。一級建築士、株式会社G proportion アーキテクツ代表取締役。「地球と人にやさしい建築を世界に」をテーマに、デザイン性、機能性、省エネ性や空間が人に与える心理的影響をまとめた空間心理学を組み込みながら設計活動を行っている。これまで120件の家や幼保園、福祉施設などの設計に携わってきた。クライアントには、上場会社の経営者やベストセラー作家をはじめ「住む人が幸せになる家」のコンセプトに共感する人が集い、全国で家づくりを展開中

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ