更新日:2024年09月24日 15:33
仕事

元レースクイーンが社会人歴ゼロから就職。「入社4日で辞めたくなったけど」課長に昇進するまで

社会人の“ツラみ”を経験「入社4日目で辞めたくなった」

だが、「働き始めたときは“違和感”だらけだった」と加賀さんは吐露する。 「ずっとレースクイーンの仕事をしていたのもあって、どうしても固定給を時給計算してしまう自分がいました。そのほか、クライアントとのメールや電話対応など、本当に何もかもが初めてで、社会人の何が正解かもわからない状況でした。 実は入社4日目で『会社を辞めたい』と言っていたんですね。自分のスキルがそこまでないのに、40時間分の“みなし残業”が月給に含まれているのが納得できなくて。そんな自分に対して、みなし残業ではなく残業した分だけを給与に反映されるように柔軟な対応をしてもらったりと、会社側に融通を効かせてもらえたのは本当に感謝しています」 こうした苦労を乗り越え、加賀さんは社内のイラストやホームページ制作、ブログやSNSの運用など、三陽工業の広報業務を担っていく。 会社のパンフレット制作や備品のデザインまで任されるようになると、リソース不足を補うためにアシスタントを雇い、広報部署のまとめ役としても社内からの期待を背負うようになっていった。現在は広報チームに新入社員が2名加わり、パートで働くスタッフも含めて4名のメンバーを束ねている。 こうしたなか、加賀さんの守備範囲は広く、広報業務の基本となるプレスリリース作成やメディアリレーション以外にも、YouTubeの動画編集やデザイン、イラスト制作、SNS運用など「やれることは全部やる」というスタンスを持っている。 まさに“スーパー広報”として、日々忙しく立ち回っているわけだ。
「SNSには力を入れており、特に2018年から始めたYouTube『かがっちャンネル 三陽工業公式TV』はチャンネル登録者数が1.3万を超えています。スポンサー先のバイクレースの動画や自分がバイクに乗って走る動画などを投稿することで、徐々に再生数が取れてきて、チャンネル登録者数が増えてきました。 そして、2020年くらいからショート動画も投稿するようになり、いくつかバズった動画が拡散されて、フォロワー獲得や認知度向上につながりましたね」

SNSの次は音声媒体にもチャレンジしたい

オフィス

オフィスで仕事中の加賀さん

記者は2年以上前、「おじさんTikTok」を取材しているが、その後も毎日更新を続けており、加賀さんは運用担当として関わっている。 【参考記事】⇒平均57歳のおじさん社員3人組がTikTokに挑戦。“バズ”で実感したSNSの絶大な効果 何でもできてしまうからこそ、デザインや動画編集、打ち合わせなどのスケジュールを1ヶ月単位で組み、時間を捻出できるように工夫しているという。 今後の展望について伺うと、「広報の部署をさらに確立させていきたい」と加賀さんは意気込む。 「今頑張っているのは、三陽工業に在籍する1900名の社員を一人ずつイラストに描いていく取り組みです。幸いにも『似てる!』と言ってもらえることが多く、全社員のイラストを完成させるのを最終目標に置いています。 またSNSに関しても、今のトレンドが廃れたときのことを考えて、新しい媒体を取り入れていきたいと思っています。次に来るのは音声媒体だと予測しているので、どこかのタイミングで三陽工業の音声コンテンツにも挑戦したいですね」 レースクイーンからスーパー広報へと、華麗なる転身を遂げた加賀さん。三陽工業の躍進を支える、加賀さんのこれからの活躍ぶりに期待したい。 <取材・文/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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