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「日本経済を支える100歳ビル」に「間もなく消えるレトロビル」も…初開催“建築フェス”で名建築と触れ合ってみた

⑦明治生命館(1934年築)

 千代田区丸の内、皇居外苑濠沿いにおけるシンボル的存在の1つである「明治生命館」は1934年に竣工した現役の大型オフィスビルだ。外観はコリント式の柱が並ぶ古典主義でありながら設備は当時最新式であったという。戦時中は大型建物の建築が難しくなったうえ過度な装飾なども禁止されたため、戦前におけるオフィスビル建築の最高傑作の1つといえる。  終戦後は1956年までGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)に接収され、1956年まで米空軍の極東司令部などが入居していたという過去も。現在も明治安田生命がオフィスとして利用しており、1997年には国の重要文化財に指定されている。
東京建築祭

皇居外苑前・馬場先濠沿いにある明治生命館。90年にわたって現役の大型オフィスビルだ。現在は後ろの明治安田生命ビルと接続されているものの明治生命館の建物は独立しており、決して「腰巻ビル(外壁のみ保存)」ではない(写真:若杉優貴)

 東京建築祭では、明治生命館と接続されている明治安田生命ビル(2004年築)の共用部に案内パネルが設置されていたため、「明治生命館の裏側」を見ながらかつての丸の内の姿を知ることができた。
東京建築祭

明治生命館の裏側は明治安田生命ビルに繋がっている。展示は写真右側で行われており、歴史ある建物を見ながら丸の内の歴史に触れることができた(写真:若杉優貴)

⑧東京駅丸の内駅舎/東京ステーションホテル(1914年築・2012年復原)

 今回の「名建築巡りワンデートリップ」のフィニッシュは「東京駅丸の内駅舎」。まさに「東京建築祭」の終着点としてふさわしい場所であろう。
東京建築祭

東京駅丸の内駅舎(1914年築)と東京中央郵便局・JPタワー(1933年築・2012年増築)、その背後には八重洲口の駅ビル・グラントウキョウ(2007年築)と東京ミッドタウン八重洲(2023年築)がそびえ、大正・昭和・平成・令和の建物が共演する(写真:若杉優貴)

 東京駅丸の内駅舎の南北ドーム下2階部分には回廊が設けられており、東京建築祭の期間はそのうち南側で駅舎の歴史などに関する特別展示が行われていた。この回廊も、丸の内で見学した他の建物と同じく通常でも立ち入ることができる場所だ(北ドーム下2階は東京ステーションギャラリーを利用すると見学することができる)。  南北の回廊には東京駅の歴史を紹介する資料や模型、復原前に使われていた部材などが常設展示されている。むしろ東京建築祭の期間外のほうがゆっくり見学できるかも知れないので、駅を利用するついでに訪れてみて欲しい。
東京建築祭

東京駅丸の内駅舎の南北2ヶ所のドーム下2階回廊には、丸の内駅舎の模型や復原の経緯、復原の際に交換された部材などが常設展示されている(写真は北ドーム下、写真:若杉優貴)

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都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitter:@toshouken

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