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「日本経済を支える100歳ビル」に「間もなく消えるレトロビル」も…初開催“建築フェス”で名建築と触れ合ってみた

③三井本館(1929年築)

 神田から中央区に入り三越前へと移動、到着した「三井本館」は噂通りの大混雑だった。三井本館の場所はもともと1683年に呉服店「三井越後屋(三越)」(1673年創業)が店を構えた場所。同年には三井住友銀行の前身となる両替商の営業も開始している。現在の三井本館は1929年に竣工したもので、1998年には国の重要文化財に指定された。
東京建築祭

日本橋の「三井本館」。こちらは長蛇の列だったため外から覗くのみに…。花崗岩で造られたと思われる外壁に並ぶコリント式の列柱が美しい。ちなみに、三井記念美術館に入館すれば一部に入ることができる(写真:若杉優貴)

 今回特別公開されたのはエレベーターホールなど。社長室や金庫室などは事前申し込み・抽選制の有料見学会のみで公開されたそうだ。長蛇の見学列に並んでみたものの、「約1時間待ち」とのこと。  並んでいる人からも「このままだと他が回れないと思う」という声が聞こえてきた。そのため、後ろ髪を引かれながらも外から覗くのみとして、代わりに「日本橋三越本店本館」(1914年築・1935年改修、国の重要文化財)の荘厳な内装を楽しんだあと、新橋を経由して丸の内へと移動することにした。
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日本橋三越本店の新館には「三越デパートメント宣言150周年」の記念装飾が設置されていた。この新館の1階案内所前には「三井越後屋」時代の看板(レプリカ)も展示されている。こちらにも注目してみては(写真:若杉優貴)

④堀ビル(1932年築)

 続いて訪れたのは港区の新橋駅近く、外堀通り沿いにある「堀ビル」。堀ビルはもともと建具などを販売する堀商店のオフィスとして1932年に建てられたもので1998年には国の登録有形文化財となり、2020年まで同社のオフィスとして利用されていた(現在、建物は同社が保有しているものの本社は千葉県に移転)。  しかし、老朽化が進んだことから竹中工務店などの協力を経てリノベーションを実施。2021年にレトロな外観や内装を活かすかたちで21世紀型のシェアオフィス「GOOD OFFICE新橋」へと生まれ変わった。レトロビルをリニューアルしたシェアオフィスは遠くからでもよく目立つ存在で、「近代建築の新たな活用方法」としても注目されている
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新橋駅前の一等地、外堀通りにそびえる歴史建築「堀ビル」。館内はレトロな装飾を活かしつつリノベーションされている(写真:若杉優貴)

 堀ビルで公開されたのは1階のオフィスラウンジ部分と階段室。こちらはあまり並ぶことなく入ることができた。かつて建具を扱う会社のオフィスだっただけあり、照明や階段の手すりなどにも細かいこだわりが。丁寧な細工を間近に堪能することができた。
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堀ビルの階段室にあるペンダントライト。その影が描く星型にも注目して欲しい(写真:若杉優貴)

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続いて日比谷に到着して向かったのは…
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都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitter:@toshouken

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