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埼玉の県道沿いに“突如出現するピンク色のカオス空間”所有者を直撃。いつか「町おこしの観光施設に」

 廃墟、産業遺産、巨大工場、ダム、大仏、公園遊具、珍スポットなど、日本中にある非日常スポット、風変わりな場所を紹介する《異空間》旅行マガジン『ワンダーJAPON』。当連載は、編集長である私、関口 勇がこれまで誌面で取り上げたなかでも、「特にインパクトが強かったスポット」をピックアップしたうえ、順次紹介していくものだ。  今回は埼玉県越生町の「神辺土建コレクション」。JR八高線越生駅から徒歩10分の場所にある。
神辺土建コレクション

県道から丸見えの《異空間》。「土地は本来誰のものでもない」という発想で特に立入禁止にはしてないという

骨董品や昭和レトログッズが展示される“未完の珍スポット”

 土木・建築・解体業等を営む神辺土建の神辺智行社長が収集した骨董品や昭和レトログッズが展示されているのだが、すでに10年以上昔から準備しているものの、いまだ絶賛整備中という未完の珍スポット。だが、県道を挟んで東西に広がる独特な空間=《異空間》に、思わず車を停めて「いったいここは何?」と不思議に思いながらスマホでちょっと撮影しては去っていく人が後を絶たない。  いちばん目を引くのは県道の東側すぐ脇、十数基のカラフルな丸型ポストがズラリと並ぶコーナーだろう。ポスト前にも同じようにカラフルな鉄パイプが並び、いちばん手前にはド派手なピンク色の屋根付き3輪バイクが置かれている。FRP製だろうかかなり大きなアフリカゾウもいる。解体した幼稚園から引き取ったのか遊具もあれば、100円を入れるとゆっくり歩く電動乗用パンダもあったり。中央にそびえ立つ櫓にはパチンコ店に置かれていた看板人形や日本酒の「来陽」の看板もあった。かなりカオスだ。

なぜ“ド派手なピンク色”で統一されているのか

神辺土建コレクション

今年喜寿となる神辺社長。叩くと伊豆大島の港を題材とした昭和の名曲「波浮の港」のメロディを奏でる(波浮港にあるもののパクリだとか)

 その先には大きな木があり、手前には「不思議の国のアリス」に登場するスーツ姿の巨大なウサギが金庫の上にドッカリと居座っているのだが、ウサギも金庫も3輪バイクと同じピンク色。よく見れば、敷地に置かれている重機も軽トラもみんなこのド派手なピンク色だ。なんでも亥年(昭和22年)生まれの社長が飼っていたイノシシが「桃華」という名前で、会社のカラーに決めたという。他の場所に置かれているダンプやクレーン車から自家用車まで全部同じ色で統一されているというから徹底している。盗難防止にもなりそうだ。
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「町おこしの観光施設」にする目論見が
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『ワンダーJAPON』編集長(フリーランス・発行元はスタンダーズ)。廃墟、B級スポット、巨大構造物、赤線跡などフツーじゃない場所ばかり紹介。武蔵野美術大学非常勤講師。X(旧Twitter):@isamu_WJ
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