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「大丈夫です!」と仕事を抱え込み、できずに最後は自爆…“アリゲーター型”危険社員

会社に巣食う問題社員によって同僚は疲弊し、職場は大混乱。時には退職者まで出し、業績を悪化させる。そんな「危険社員」を7種類の野生生物にたとえて、生態に迫った!今回は「アリゲーター型」危険社員について。

仕事をパンクさせ周囲は大被害

職場を壊す[危険社員]図鑑「30代の女性事務職は、仕事を頼まれると『わかりました』と何でもかんでも引き受ける。断らないのは嬉しいが、明らかに自分の能力を超えた仕事なのに無理やり前に進めようと一人で抱え込んだ挙げ句、ついにはどうにもならず音信不通に。情報共有もできておらず納期が遅れ、違約金を支払うことになった」(広告・47歳・男性) 淡水域の食物連鎖の頂点に立つアリゲーターは、動くものなら何でも食べる。成体はシカやウシまで襲い、一日の食事量は自らの体重の半分という大食漢。だが、満腹すると2か月も餌を食べないことも珍しくない。アリゲーター型危険社員も大量の仕事を安請け合いし、ある日、ピタリと動きを止める。なぜできもしない仕事なのに断らないのか。臨床心理士の杉山崇氏が解説する。 「会社で居場所を失うことを異常に怖がり、役立たずと思われたくないという恐怖心がある。このタイプはスキルや成果より、優秀そうに見せることに躍起になる傾向がある」

危険社員は上司の中にも…

この種の危険社員は、上司の中にも紛れ込んでる。 「30代の男性SEは部下に指示もできないのに、他者からの評価を病的に気にする。会議でも『大丈夫』『順調です』と根拠なく繰り返していたけど、SNSの裏垢では『もう限界』とネガティブ投稿を連投。心配した友人にも『大丈夫』と返信していたらしい。当然、プロジェクトは頓挫しました」(IT・38歳・男性) 平時のアリゲーターは静かで動かない。NOと言えない危険社員もおとなしく、限界を迎えると自爆テロさながらに全仕事を放り出す。労務士の石川弘子氏は彼らの内面をこう分析した。 「わがままと思われるのがイヤで助けを求められず、仕事を抱え込む人は少なくない。ただ、上司が部下の『大丈夫』を鵜呑みにしたらマネジメントなんてできません」 静かに自爆の時を待つ危険社員には近づきたくない。

「アリゲーター型」の特徴

同じワニでも攻撃的なクロコダイルとは異なり、アリゲーターは普段はおとなしい。危険社員もNOとは言えずおとなしく、自爆の時を待っている。 アリゲーターの必殺技は、獲物を捕えて体を激しく回転させて引き裂くデスロール。アリゲーター型危険社員は自爆して周囲を巻き込む。 変温動物のワニは、環境の変化に弱い。アリゲーター型危険社員も、組織の変化や新しい仕組みの導入への耐性が脆弱でストレスを溜め込む。 ヤバすぎるアリゲーター型の言動集 仕事を頼むと『明日にはできてます』と毎日言う部下がいる(住宅・36歳・女性) 対策:本人の能力を考慮して労働時間を管理する 【臨床心理士 杉山 崇氏】 心理学者。神奈川大学教授。同大学心理相談センター所長。著書に『心理学的に正しいモンスター社員の取扱説明書』(双葉社)など 【社会保険労務士 石川弘子氏】 フェリタス社会保険労務士法人代表。ハラスメント防止コンサルタント。著書に『あなたの隣のモンスター社員』(文春新書)など 取材・文/山本和幸 取材/谷口伸仁 綾部まと 齊藤武宏 イラスト/神林ゆう
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