東京の“18禁新名所”に広がる「衝撃的な光景」。頽廃・淫靡で妖しく魅力的な濃厚異空間は一見の価値アリ
廃墟、巨大工場、珍スポット、戦争遺跡、赤線跡などこれまで旅行ガイドが見向きもしなかったようなリアル異界を積極的に取り上げる日本で唯一の異空間旅行マガジン『ワンダーJAPON』(前身は『ワンダーJAPAN』)。当連載は、編集長である私、関口 勇がこれまで誌面で取り上げたなかでも、「特にインパクトが強かったスポット」をピックアップしたうえ、順次紹介していくものだ。
今回は東京・向島に2022年10月にオープンした「大道芸術館 museum of roadside art」。向島は新橋や赤坂など東京の六花街の1つで、大道芸術館も元は鉄骨造3階建ての「向島 料亭市山」だった建物だ。料亭なんて縁のない場所に行けるだけでも貴重。ただ、大幅に改造しているので、料亭だった頃の様子はギルド・デザイン一級建築士事務所の公式サイトで事前に見ておくといいかもしれない。
元料亭の芸術館と聞くと、高尚なアート空間を想像しそうだが、実際は全然違う。誤解を恐れずザックリいえば、妖しい装飾で埋め尽くされた耽美な空間に、大量のエロい人形が展示された18歳未満入館お断りの「人形の館」だ。
公式サイトに「都築響一コレクション」の文字があるように、ここにあるのは都築響一氏が長年にわたる取材の過程で、無名アーティストの作品(エログロも多い)や閉館した珍スポットのオブジェなどを自腹で購入していたら、いつのまにか集まってしまったもの。
解体寸前だった秘宝館の1コーナーを丸ごと買い取り(たしか外車1台分ぐらいの値段で、保管倉庫代もバカにならないという話)、消滅から救ったものも含まれる。オープンに合わせてラブドール7体(1体約70万円)をまとめて購入。令和にバブルよ再びといったパワーを感じさせる。
扉を開けると、巨大な青い手が透明カプセルを持ち上げ、中には薄い布を1枚まとっただけの女性の人形が出迎える。2000年閉館の「元祖国際秘宝館・鳥羽SF未来館」に展示されていたものだ。
1Fはこのミュージアムのシンボル像と、大道芸術館オープンのきっかけとなった大竹伸朗氏の秘宝館ガチャとショップ、それに艶めかしい裸婦画が壁に掛けられたレーザーカラオケルームが見学できる。室内にはラブドールが横たわったガラステーブルや天才蝋人形師・松崎覚の蝋人形が置かれているが、当館にある全裸人形はどれも特殊衣装作家YOMI nokuniさんのオリジナル衣装を身にまとっている。たまにお着替えあるのだが、全裸よりも素晴らしく淫靡だったりするから素敵だ。
かなりの資本を投入しているだけあって、展示の仕方については弁護士や地元警察とも相談したそうで、これも自主規制の一環だ。
18歳未満入館お断りの「人形の館」
弁護士や地元警察と相談済み
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『ワンダーJAPON』編集長(フリーランス・発行元はスタンダーズ)。廃墟、B級スポット、巨大構造物、赤線跡などフツーじゃない場所ばかり紹介。武蔵野美術大学非常勤講師。X(旧Twitter):@isamu_WJ
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