更新日:2024年12月01日 16:12
エンタメ

「多摩川で釣った魚」や「野草」で飢えをしのいでいたアイドルに聞く、極貧時代に「一番ツラかったこと」

多忙でバイトをする時間を作れず、やむなく生活苦に

 それでも自転車でライブハウスに移動とはかなり大変なことである。健康のためではなく交通費が出せないというのがなんとも切実だ。 「歩合制といっても10%バックでした。1000円のチェキ1枚撮ってもらったら100円バックというシステムです。でもお客さんの数も限られているので当時は10人チェキ撮ってもらったら『やった!1000円もらえる!』みたいなテンションでした」  アイドルであることに真っ直ぐすぎて聞いているほうがツラくなるエピソードだ。アイドルでの収入もほとんどなく、アルバイトも出来ない。月30本というとほぼ毎日。しかも1日に2つイベントがあるなどザラだ。これでは確かにバイトもできずに生活苦になるのも無理はない。  ただ補足すると最初の事務所は、社長もお金がなく、「みんなで頑張ろうという雰囲気で寄り添ってくれていた」とのことが、唯一の救いだ。

コンビニのサラダを落として「嗚咽するほど号泣」

ソラ豆琴美

釣りはお手の物(写真はサワラ)

「当時はもう本当にギリギリの生活でコンビニがめちゃくちゃ高級店に見えてたんです。一度、コンビニの300円ほどのサラダを買って楽屋に持っていったときにつまずいて落としちゃったんです。もう嗚咽するほど号泣しちゃって。そのくらいギリギリでしたね~」  そんなギリギリの生活でも米だけは実家からこっそり調達して確保していた。それでも生きるには食べ物が足りない。そこで思いついたのが冒頭の多摩川の釣りだった。 「最初は釣り人に『何釣れるんですか~』程度だったんです。でも高級魚のマゴチが釣れると聞いてはじめました。それから川エビをペットボトルで罠を仕掛けて取りましたね。鯉はたくさんいたんですがこれは思い出したくないですね……」
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野草の調理方法はいろいろ試した。においはレモンでごまかす
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富山県出身。中央大学法学部卒。在学中より故・永谷修氏に師事。文藝春秋『Sports Graphic Number』編集部などを経て2018年に独立。執筆活動のほか書籍の編集、YouTube制作、アーティストマネジメント、ライブイベントなどを行っている。Twitter: @matsudai0228

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