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30代でFIREを達成した経営者が「1年後に再び働き始めたワケ」。“虚無感に襲われる日々”との戦い

自分が動かざるを得ない環境を作って、脱FIREを実現

イメージ 自分のためだけに生きる日々はつまらない。そう感じたとき、頭をよぎったのが「このままでいいのか?」という焦燥感です。「いま、始めないともう自分は歩みを止めてしまうのではないか。何か始めるならいましかない」と思った私は、その日から新たに仕事を始めようと決意しました。  具体的にやったのは、オンラインや対面でもコーチングを復活させること。以前は、コーチングで培った知見をオンラインコンテンツ化することで収益を得ていたのですが、自分自身が直接コーチングするプランを作ることで、「強制的に自分が動かなければならない環境」を作り上げました。  久しぶりにリアルの現場でお客さんたちに会うと、感謝もされるし、いろんな反応も返ってくる。その日々は、FIREしていた時代よりも、びっくりするほど張り合いがあるものでした。

「もう二度と止まらない」と決めた

 再びビジネスを始めて間もないとき、ひとつ忘れられない出来事がありました。それは、同じくFIREした40代半ばの知人男性との会話です。彼は日本で2つの会社を売却し、金銭的には寝ていても生きていけるくらいの資産を手にしています。ときには日々に刺激を求めて、海外の僻地を旅もしていますが、「どこか心が満たされない」のだと言います。 私が再びビジネスを始めたことを告げると、彼はこう言いました。 「いや、それは楽しそうだね。最近は人に会うと『何か面白いことない?』って聞くのが習慣になっちゃったよ。でも、俺はもうアクセルを踏むきっかけがなくなっちゃったからさ……」  おそらく彼も、何かに熱中し、真剣に取り組める目標を探しているのだと思います。でも、再びアクセルを踏む気力が湧かないし、一歩踏み出すのはもう怖い。だから、刺激がなくとも、ぬるま湯のようなFIRE生活をずるずると続けてしまう。そんなFIRE達成者は 案外多いのではないかと思います。  その友人の言葉を聞いて、私が決めたのは「もう二度と完全に止まらない。今後は、どれだけ稼いでも、ずっと自分がやりたいことをし続ける」ということでした。お金を稼ぐ必要があるかどうかに関係なく、好きな仕事に向かって働き続けることが、自分にとっては自然だし、やりがいがあるのだと強く感じたからです。
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「FIRE達成=ゴール」ではない
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富とお金のメンタルトレーナー。ニューヨーク州立大学卒業後、借金苦と人生の挫折からメンタルトレーニングの重要性を学び、不動産ビジネスで成功。その成功体験をもとに、人生を好転させるヒントをSNSで発信。YouTube、X、Instagramなどで合計45万人以上のフォロワーを獲得し、初書籍「親子の法則」の発行部数は6万部を記録。自身が開発したコーチングプログラムは約10年でのべ20万人以上が参加。
X(旧Twitter):@sanrin_hikiyose

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