30代でFIREを達成した経営者が「1年後に再び働き始めたワケ」。“虚無感に襲われる日々”との戦い
皆さん、こんにちは。メンタルトレーナーの三凛さとしです。私は20代の頃、借金苦と 人生の挫折からメンタルトレーニングの重要性を学びました。その後、ビジネスに成功し、30代で一度FIREを達成。その体験などをもとに「人生を好転させるヒント」をSNSで発信しています。
2017年、私は一度FIRE(経済的自立と早期リタイア)を達成しました。正直、FIRE直後に感じたのは「もうこれからは目標に向かって頑張らなくてもいいんだ」という安堵感です。あとは、お金の心配をすることなく、世界中を旅する悠々自適な生活へと突入しようというワクワク感にあふれていました。
しかし、FIREを達成した、たった1年後の2018年4月。私は再び仕事を始めるようになっていました。「なんでせっかくFIREしたのに、また仕事を始めたのか」。多くの人にそう質問されましたが、そこにはいくつかの理由がありました。
FIRE突入後、まずショックだったのは、感動や喜びに対する感度が急速に鈍くなってしまったことです。たとえば、お金がなかった20代、初めてアメリカに行ったときの感動は今でも鮮明に覚えています。「自分が知らない世界がこんなに広がっているのか。これから自分もこの世界で頑張って一旗挙げてやる」という期待感もあったし、初めて出会うバックグラウンドの違う人たちとの交流は本当に楽しいものでした。
海外旅行は自分の中で大好きなもののひとつだったので、FIREを達成した直後、ラオスやベトナムといった東南アジアから、オランダ、フランスなどの欧州まで、以前から「行きたい」と思っていた場所に次々と足を運びました。最初は楽しかったものの、次第に感じるようになったのが「どこか満たされない感覚」です。
以前は旅先で新しい世界にいる異なる文化や人々との出会いに心が躍ったのに、その感覚を味わえない。「ここに来たら感動するはずだ」と思っていた場所に行っても、「あれ、こんなものかぁ」と感じてしまう。旅を重ねていくなかで、「忙しい日常があったからこそ、旅という非日常が楽しめたのだ」と痛感するようになったのです。
また、FIRE後の日常生活では、「目標」を持てなかったのも、大きな理由でした。思い返すと、FIREという目的に対して、たくさんの試行錯誤がありました。もともとスポーツマン気質な私は、目的に向かって進んでいくことが好きなタイプです。失敗しては学び、また挑戦する。大変なこともありましたが、それすらも楽しみながら挑戦を続けていました。
さらに、自分が成長している実感があったため、辛いことや大変なことがあっても、前向きに頑張れたのだと思います。でも、FIRE後には「頑張るきっかけ」がなくなったことで、喪失感が生まれてしまったのかもしれません。
以前から、「定年退職した人が急にボケてしまう」という話はよく聞きますが、私自身はこの話には納得感しかありません。お金も時間もあるから、旅行に行ったり、おいしいものを食べたり、自分を楽しませたりすることはできる。でも、それだけだと、どこか物足りない。そんな空虚な日々を送るようになりました。
日刊SPA!では「ストレスなく生きていくための方法」をお伝えできればと思っております。連載第5回となる今回は「FIRE生活をやめた理由」と「復帰できた理由」について、お話していきます。
30代にして手に入れた「FIRE生活」をやめた理由
“感動”や“喜び”が薄れていく感覚に…
「刺激がないFIRE生活」の虚無感
富とお金のメンタルトレーナー。ニューヨーク州立大学卒業後、借金苦と人生の挫折からメンタルトレーニングの重要性を学び、不動産ビジネスで成功。その成功体験をもとに、人生を好転させるヒントをSNSで発信。YouTube、X、Instagramなどで合計45万人以上のフォロワーを獲得し、初書籍「親子の法則」の発行部数は6万部を記録。自身が開発したコーチングプログラムは約10年でのべ20万人以上が参加。
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