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ソニーがKADOKAWA買収に動く「2つの理由」。KADOKAWAとしても「ソニーを迎え入れる」のは悪くない選択肢か

ゲームスタジオ買収も苦戦が続いており…

 ソニーは2022年5月の経営方針説明会で、ライブサービスゲームを2025年度までに10タイトル以上展開する方針を示しました。ライブサービスゲームは、従来のように構築された世界でやがて終わりを迎える売り切り型ではなく、プレーヤーと長期的な関係を築くもの。「フォートナイト」や「エイペックスレジェンズ」などの成功で知られています。  このタイプは一度リリースすると、課金によって長期的な収益に期待することができます。ソニーは10タイトル以上の展開という目標を達成するため、ゲーム会社の買収を加速しました。よく知られるのが「デスティニー」を開発したバンジーの買収。買収額は5000億円を超えています。同年にはヘイブン・エンターテインメント・スタジオ、2023年にはファイアウオーク・スタジオを買収しています。  しかし、必ずしもうまくいっていません。  ファイアウオークが開発したゲーム「コンコード」は、8月24日にリリースしたものの9月6日にサービスを中止しています。開発には8年もの歳月をかけていました。  ソニーは決算説明会にて、ユーザーテストや社内評価をもう少し早い段階で検証を重ねるべきだったとコメントしています。ファイアウオークは閉鎖が決定しました。  バンジーも苦戦中。2024年8月に全従業員の17%にあたる220人の人員削減を発表しました。同社は昨年にもリストラを断行しています。新作「マラソン」の開発に取り組んでいますが、具体的な発売時期には言及していません。

プレイステーションというドル箱を持っているからこそ…

 ソニーは今期、「ヘルダイバー2」という大ヒットタイトルが誕生したものの、戦略的に買収を繰り返してきた成果としては、決して大きなものとは言えないでしょう。    KADOKAWAの連結子会社にフロム・ソフトウェアがあります。この会社が開発した「エルデンリング」は世界で2500万本を超える大ヒットを飛ばしました。それ以外にも「アーマード・コア」などの人気シリーズを抱えています。  フロム・ソフトウェアはライブサービスゲームに強みを持つ会社ではありません。しかし、プレイステーションというドル箱を持つソニーにとって、数々のヒットシリーズを抱える会社を傘下に置く意味合いは大きいでしょう。
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ソニーを迎え入れるのは、悪くない選択肢?
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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