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「G-SHOCK」のカシオが“一人負け状態”に。セイコー、シチズンと明暗が分かれた理由――ニュース傑作選

 

シチズンのアメリカ進出は吉と出るか?

 シチズンは「ATTESA」と「PROMASTER」の主力ブランドが増収をけん引。海外はやや苦戦しているものの、国内が堅調に推移しています。特に「ATTESA」が人気です。  このブランドはチタン素材を採用した腕時計で、軽量かつ堅牢という特徴があります。更に光発電、GPS電波時計、多局受信型電波時計などの最先端技術を盛り込みました。価格は10万円程度で手に入るモデルが多く、ビジネスからカジュアルまで幅広く使えることから若いビジネスマンに人気があります。  現在、シチズンはアメリカ攻略を着実に進めています。2007年にアメリカの機械式時計の老舗メーカーである「BULOVA(ブローバ)」を買収し、増収に寄与しています。また、2023年12月にフラッグシップストア「CITIZEN FLAGSHIP STORE NEW YORK」をニューヨーク5番街にオープン。「CITIZEN」やブローバなどの主要ブランドを展開しています。  シチズンもセイコーと同じく時計職人の育成にも力を入れています。腕時計の組立てまでを自社一貫製造する環境を整え、技能五輪への出場をバックアップしているのです。ムーブメントはアナログクオーツが軟調である一方、機械式ムーブメントは堅調に推移しています。

停滞する時計市場と好調なスマートウォッチ

 腕時計の市場はスマートウォッチに侵食されていると言われていますが、最初のターゲットとなるのはデジタル腕時計でしょう。機械式時計は趣味性が高いため、スマートウォッチが代替品にはならないからです。  スマートウォッチはスマートフォンと連動するために利便性が高く、機能性はデジタル時計と遜色ありません。防水タイプもすでに登場しており、使用できるフィールドは着々と広がっています。  MM総研はスマートウォッチの国内販売台数に関する調査を実施しています(「2022年度通期 スマートウオッチ市場規模の推移・予測」)。それによると、2022年度の販売台数は前年度比13.7%増の390.3万台でした。2024年度には500万台、2026年度には600万台を突破するとの予想を出しています。  日本時計協会によると、2022年日本の腕時計の総出荷数は5220万個。前年比0.4%の減少でした(「2022年日本の時計産業の概況」)。このうち、水晶デジタルは1670万個。前年比で1.2%増加しているものの、コロナ前(2019年)の1920万個と比較すると、15.0%減少しています。デジタル化が進んだコロナ禍をきっかけとして、スマートウォッチが市場を侵食したとも見ることができます。  カシオは堅牢であることに特化するか、スマートフォンなどと連動するスマートウォッチに寄せるか、はたまた別の展開を行うか。中長期的には新たな取り組みが求められるでしょう。 <TEXT/ 不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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