更新日:2024年12月05日 10:17
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コメの高騰で苦悩する回転寿司チェーン。最高益が相次ぐ好調4社と明暗分かれた“かつての王者”

5位からの巻き返しを図るパイオニア「かっぱ寿司」

かっぱ寿司

かっぱ寿司(筆者撮影)

 コロワイドの傘下に入り、盤石な経営資源とネットワークを活用し巻き返しを図る、業界5位のかっぱ寿司(かっぱ寿司309店、2024年9月時点)。1994年は回転寿司業界のリーディングカンパニーだったが、競合店の出店による売上低下、総菜事業など業容拡大に励んだものの、広めの空間はムダが多いともいえ、坪効率が低下し業績低迷に陥った。  そこで業績向上のために手っ取り早く原価を抑制して利益確保に努めたが、お客から商品への不満が増えて、さらに業績が悪化するなど負の連鎖に対応できなかった。そういった状況下で、追随してきたスシロー・くら寿司・はま寿司などに追い抜かれ、差をつけられてしまったのである。現在はコロワイドの傘下で、グループ企業との連携を強化しながら、ブランドのリブランディングに力を注いでいる。  前期(2024年3月期)の業績は売上722億円、営業利益17億円、営業利益率2.4%となっており、上位3社には、まだまだ差をつけられている。しかし、名店とのコラボ商品や人気タレント・プロ料理人を起用したTVCMで「かっぱ寿司」ブランドの認知度向上に向けた販促を強化している。  キュウリでシャリを巻いたヘルシー感のある新発想である「かっぱ軍艦」も話題で、他商品も大贅沢感のあるネタを一皿100円(税込110円)で提供するなどして巻き返しを図っている。アプリ会員には生ビール半額クーポンを定期的に配布し、新ネタの提案や割引キャンペーンも随時実施して集客対策を講じている。今年度上期のカッパクリエイトの連結売上は370億円、事業利益は5億円、利益率は1.5%だが、今後の業績向上に期待する根強いファンは多い。

回転寿司業界の将来を占う4つの視点

 週末のファミリー客だけでなく、平日のランチ時に高齢夫婦が家で食事をするより経済的だということでよく利用される回転寿司。老若男女問わず支持される回転寿司の存在は日本の外食には大きな存在となっている。  今後も、上位5チェーン店が顧客争奪戦を展開し、市場をさらに牽引することが推察される。そして、独自性を発揮し、お得感を訴求した店が市場シェアを拡大していくだろう。  各店が成長に向け、①仕入れ力の強化、②魅力ある品揃えの強化、③常に飽きの来ない店づくりに向けたキャンペーンの実施、④DXも含めオペレーションの強化に磨きをかけて、競争優位性を確保していくのだろう。 <TEXT/中村清志>
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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