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ディズニーは「もはや金持ちしか楽しめない」?クリスマスイベントの混雑で見えたもの

チケットはエルメスのバーキンのような存在に

東京ディズニーランド 入口

Antelope – stock.adobe.com

 ディズニーリゾートにおけるチケットは、エルメスにおけるバーキンを買える資格のような存在だと推測している。 「エルメスの中でも特に人気の高いバーキンは、誰もが簡単に買えるものではありませんよね。エルメスの価値を十分に理解し、バーキン以外のエルメス製品も愛用している、ゆるぎない信頼関係を築けている顧客でないと、なかなか購入の機会がありません」  商売にあるまじき行為とも思えるが、これにはなんら不思議はない。「人間、一人ひとりが感情や考えやポリシーを持っているように、ブランドも感情や考えやポリシーを持っています。丹精込めて作った商品を誰に売りたいかと考えたら、その商品を長く愛して、大切に使い続けてくれる人でしょう」と松下氏。 「ディズニーの場合は、ディズニーが大好きで、生涯に必要としているお客さんにサービスを提供したいと考えられます。チケット代の値上げはむしろ、真のサービスを提供したい方々との強固な関係構築につながるのです

ディズニーが求めている真のファンとは?

 チケット代の値上げは、「ディズニーがサービス提供するべきお客さん=真のファン」を探し出すためのひとつの方法だとしたら、どんな人が真のファンに当てはまるのだろうか? 「先ほどもお伝えしたように、ブランドは、その信念やこだわりに共感してくれるファンを作り、そのファンに支えられて、共に成長していき価値を高めていくものです。つまり、ファンでありながら、共に成長していくファミリーでもあります。  そしてディズニーは、名前に『リゾート』と付いているように、慌ただしい日常から離れて休暇や余暇を過ごすために足を運ぶ特別な場所という意味が込められています。誰かにとっての特別な空間、特別な時間を演出するためには、来ていただくお客さんの協力も必要です。 『キャラクターも結局は着ぐるみで…』というような、ディズニーのかけた夢を壊すような発言をする人や、『大切な人と過ごすクリスマスだから、とりあえずディズニーに行けば間違いないだろう』と考えている人に来てほしいとは考えにくいでしょう。つまり、ディズニーが本当に来てほしいのは、『共にディズニーの作品世界に没頭できて、特別な空間、特別な時間を楽しめるファン』だと推測できます」
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誰もが特別感を持っている「クリスマス」
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経営コンサルタント、共感ブランディングの提唱者。株式会社SKY PHILOSOPHY 会長。40年近く、企業アイデンティティーやブランドコンセプトの確立を専門とし活動。2011年より「真のブランディングを世に伝える」ことをミッションに、講演、講師、コンサルティングを行う。2024年、著書『共感ブランディング®ドリル』で、自身の体系的オリジナルロジックを一般公開。ブランディングのわかりやすい実践書として高評価を得ている

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