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回転寿司チェーンで“ひとり負け”状態のかっぱ寿司。大手3社と分かれた明暗――ニュース傑作選

売上を伸ばし続ける「スシロー」

スシロー

スシローの値段を固定しない「白皿」

 スシローは回転寿司業界のリーダーで、売上の推移を見ると5年前(2019年)は1990億円だった売上が、2020年2049億円、2021年2408億円、2022年2813億円、2023年3017億円と順調に増加させており、5年間で売上を1027億円(51.6%増)増やしており、成熟化した外食業界の中での急拡大には驚きだ。  2024年期に入っても10~3月の上半期で前年比は、売上118.7%、客数115.6%、客単価102.6%と前年を上回っており、4~6月の第3四半期も売上110.1%、客数111%と前年2桁超えしている。  ただし、客単価は前年比99.3%と下回っている。40周年感謝祭として100円寿司を多数投入したことが主要因と推察され、特に6月の客数は前年に対して18%伸ばしているが、客単価は2.6%減らしている。

コラボ企画で首位を追随する「くら寿司」

くら寿司

くら寿司の看板

 海外を含めた総店舗数は2位だが、国内店舗数は3位のくら寿司。業績は売上2114億円、営業利益24億円(23年10月期)となっている。2024年度は前年を上回る好調さを維持しており、上半期を終えた2023年11月~2024年4月の業績を見ると、売上1160億円、営業利益56億円と前年同期比では売上は114.0%と14%増の2桁成長である。営業利益率は4.9%で、営業利益では前年が▲12億円の赤字だったから68億円増えたようだ。このように今期第2四半期は売上・利益と共に過去最高を更新した。  国内ではもともとの強みであるまぐろ、カニなど質の高い商品を中心にしたフェアの展開、大人気キャラクター「ちいかわ」や人気アニメ「名探偵コナン」とのコラボ企画の実施で売上が伸びている。経費管理も前年同期比で原価が45.5%→40.9%と4.6%と抑制できているのが、営業利益の上昇要因だ。  また衛生管理を強化しており、食の安全性に力を入れている。鮮度くん(寿司カバー)に上部のQRコードによる製造時間制限管理システムと、長時間レーン上に置かれた寿司を廃棄するシステムも導入。客が皿を投入口(皿カウンター)に入れることで自動的に回収され、同時に枚数がカウントされる。テーブル席に5皿ごとにカプセルトイの景品が当たる抽選機「びっくらポン」も子供さんに人気で大人も楽しんでいる。  全店舗に店舗支援システムがあり、本部から全店舗を見て、運営に援助を受けられる。115円均一価格を維持させるための対策として、粗利益が確保できるらーめん・丼物・デザートなど販売。寿司だけでなく、追い鰹醤油らーめん、天丼、うな丼といったメニュー拡充を図りながら原価を適切にコントロールしている。
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DX推進で利益を伸ばす「はま寿司」
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飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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