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回転寿司チェーンで“ひとり負け”状態のかっぱ寿司。大手3社と分かれた明暗――ニュース傑作選

DX推進で利益を伸ばす「はま寿司」

はま寿司

はま寿司

 すき家などを運営する外食売上ランキング首位のゼンショー。回転寿司事業への参入を目的として、はま寿司を2002年10月に設立した。なお、ゼンショーは以前かっぱ寿司やあきんどスシローを傘下としていたが、現在は資本関係を解消している。  2019年頃より寿司全皿平日90円キャンペーンを実施して価格競争を仕掛けたが、物価高騰などの理由で2022年6月に終了した。従業員の負担軽減を目的に「Pepper」を設置して話題にもなっている。  メニューはお寿司の100円(税込110円)を基本とし、品目は90種類程度で、味噌汁・ラーメン・うどん・ケーキなども提供。他店とほぼ同質化しているように見える。  業績は、売上は前年1695億円(2023年3月期)に対して1971億円(2024年3月期)と、前年同期比116.3%と伸ばしており、営業利益も前年84億円(2023年3月期)に対して114億円(2024年3月期)と、前年同期比135.5%に伸ばしている。売上より利益の伸びが大きいのは、DXの積極的な推進が、効率性をさらに高めているのが推察される

圧倒的収益力の親会社。「魚べい」も好調!

魚べい

回転しない寿司を標榜する「魚べい」

 元気寿司グループが運営する「魚べい」も人気である。回らない回転寿司を標榜し、各テーブルには特急レーンで届ける仕組みである。  ちなみに元気寿司グループの親会社は伸明ホールディングスで米の卸売り事業を展開する非上場企業である。寿司にシャリはつきものだ。米の卸会社が垂直統合で回転寿司チェーンを展開するのは、親会社と子会社がシナジー効果を発揮し、利益を享受し合うだろう。  伸明はアグリフード・バリューチェンの構築を目的に川上事業(生産者支援)・川中事業(食の加工)・川下事業(中食と外食に参入)を垂直統合した食関連の多角化を実践している。ちなみに親会社の神明は営業利益率49.8%とほぼ半分が利益という圧倒的な収益力である。  国内外で426店舗出店している。内訳は、国内185店、海外241店と海外のほうが多い。ブランド別では国内は魚べいが169店、元気寿司は9店と国内は魚べいブランドに経営資源を集中しているようだ。しかし、海外では逆に元気寿司が225店、魚べいが6店、千両が26店となっており、地域ごとにブランドの棲み分けを行っているようだ。
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競合他店とは違う儲ける仕組みが確立
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飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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