仕事

「天井が落下して“走馬灯”が見えた」特殊清掃員が語る、命がけの仕事内容。床に危険な刃物が散乱していることも

 特殊清掃業務をしていると、“一歩間違えたら死んでいただろうな”と思ってしまうような体験をすることがあるという。 「ゴミ屋敷の床に包丁やノコギリ、カッター、注射器などの刃物が落ちていて怪我をしたこともありますし、作業中に天井が落ちてきて“走馬灯”が見えたこともあります」
現場

特殊清掃の現場。画像提供:ブルークリーン(以下同)

 都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんに死にかけた現場について詳しい話を聞いた。

天井が抜けてしまって1階に落下

現場

天井が抜け落ちてしまった現場

 築年数が古い家屋だと、思わぬ危険が待ち構えていることがある。 「ゴミ屋敷での特殊清掃業務で危険な現場がありました。築年数の古い一軒家で、2階の寝室で結構ひどい状態で亡くなられていて。体液が広がってしまっており、床を解体して清掃しなきゃ匂いが取れなかったんです」  床は全て取り外され、匂いは完璧に取れたが、根太(ねだ)という足場だけの状態になっていたという。 「最悪足を踏み外しても下に1階の天井部分があるので、落ちないから大丈夫だろうなと、高を括っていました。防護服を着ているので視界は悪かったのですが、根太の上をすいすい歩きながら進んでいったら足を踏み外してしまい、天井部分に思いっきり踏み込んでしまったんです」  どうやら天井が劣化していたようで踏み抜いてしまい、鈴木さんはそのまま1階へ落下してしまった。

大怪我を覚悟

「これは大怪我するぞ、と覚悟を決めたのですが、幸いなことに落ちたところにたまたまソファーがあったんです。かなり良い素材のソファーで『ぽよん』と上手く座ったような形で着地できました。一歩間違えていたら頭を打ったり骨折したりして大惨事になっていたと思います」  鈴木さんが少し仕事に慣れてきた頃で、現場の危険性を軽視していた部分があったという。 「怪我がなかったからよかったですが、もし鋭い尖ったものの上に落下していたら大変なことになっていたと思います。僕はそのころ体重が86キロくらいあったんですが、なぜか落ちても床は抜けないと思ってしまっていました」  結果、踏み抜いた部分は別の内装業者を呼んで直してもらったが、その修理費は赤字になってしまった。 「当時は過失に対応する保険に入っていなかったんですよね。でもその事件があってから色々保険を調べたり見直したりするようになりました。依頼主にも何を言われるかとひやひやしたんですが、きちんと元通りになればいいですよと言ってもらえて、穏便に済ませていただきました」
次のページ
ゴミ屋敷の床に危険な刃物が散乱
1
2
3
(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
記事一覧へ
【関連キーワードから記事を探す】