更新日:2025年05月27日 08:04
仕事

話題の“タトゥーだらけの25歳女将”が語る、祖父の店で働くと決意したワケ。ガラガラだった店は現在“2時間待ち”になることも

 今年の1月頃からSNSでバズっている「タトゥーの女将が切り盛りする飲食店」をご存知だろうか。話題となっているのは、創業約80年、栃木県足利市にある地元で人気の飲食店『まぐろ加一』。  おしゃれなネイルにツートンカラーの髪、そして大胆なタトゥー。そんなビジュアルの女性が調理を行う動画がバズり、わずか半年足らずで一気に有名店となった。  この動画に登場しているのは、この店の創業者のひ孫であるトチョニカペペさん(25歳、以下ペペさん)。
トチョニカペペさん

トチョニカペペさん Instagramアカウントより

 SNSのコメントのなかには「そんな見た目で調理をするな」「タトゥーで料理なんて不潔」といった、タトゥーが入った女性が調理することに抵抗を抱くアンチコメントが多数届いているという。  そんな彼女に、タトゥーを入れた経緯や、SNSでバズったことによる生活の変化などの話を伺った。

祖父が倒れて店で働くことを決意

トチョニカペペさん

『まぐろ加一』で女将として働くトチョニカペペさん 
写真/セールス森田(以下同)

『まぐろ加一』の創業者は、ペペさんの曽祖父。80年前の当初はリヤカーで野菜や魚の販売をしていたようだ。  そこから長年、地元のスーパーとして営業していたが、時代の移り変わりもあって売り上げが減少。約25年前にペペさんの祖父が、飲食店に業態を変更したという。  ペペさんが生まれたときと同時期に飲食店となった『まぐろ加一』は、約20年ものあいだ順調に営業を続けてきたのだが、コロナ禍で状況が一変……。  当時はまだ地元のタピオカ屋でアルバイトをしていたというペペさんは、コロナの影響で客足が遠のいてしまった実家の店の状況、そして祖父の体調不良により、ひとつの決心をすることになる。
トチョニカペペさん

インタビューにこたえるトチョニカペペさん

「加一のお客さんは年配の方が多かったこともあって、コロナで一気にお客さんが来なくなってしまいました。売上は半分以下。トータル130人くらい入るような中途半端に規模が大きい店だから、補助金だけじゃ全然足りなかったようで……。そんなとき、当時の店主だった祖父が倒れてしまい、私は店を手伝うために加一で働きたいと両親に伝えたんです

両親が店で働くことに猛反対したワケ

 ペペさんは当時21歳。高校卒業後はタトゥーやネイルなどがOKな洋服屋さん、タピオカ屋さんなどで働いていた。こういった仕事をしているなかで「これでいいのかな?と思うことが多く、生きている感じが全くしなかった」という。  他の仕事を探すにも、高校生の頃に入れたタトゥーの影響が大きく、条件に合う仕事はごくわずか。そんなとき、実家の飲食店に訪れた非常事態の助けとなるため、家族と共に働くことを決意した。  しかし、祖父と共に加一で働いていた両親は猛反対したという。 「両親からは『飲食店、しかも自営業は特に大変だから他で働いた方がいい』と言われました。『髪型・タトゥーが自由だからと言って気軽に来てできるようなことではない』と……。今は木曜日が定休日ですけど、当時は休みなしで一年中やっていたんですよね。だから本当にその辛さがわかっているからこそ、『そんな辛い仕事を子供にさせたくない』という想いだったのかなと思います」
トチョニカペペさん

写真右は、ペペさんの父で、加一の店主の塚越匡洋(つかごし まさひろ)さん

 両親と話し合い、しっかりと考え抜いた結果、改めて加一で働くことを決意したペペさん。そんな彼女が、この店に大きな改革をもたらすことになる。
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中学3年生でクラブ通い…初のタトゥーは高校時代に
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Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント
X(旧Twitter) salesmorita32

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