茨城県が魅力度ランキング最下位脱出
漫画家の西園フミコと申します。ふだんは扶桑社のWebサイト「
カラふる」でお土産のコラムなんかを書かせてもらっています。
さて、先日「都道府県魅力度ランキング」2020年版(
「地域ブランド調査2020~京都市が1位に返り咲き。都道府県では北海道が12年連続1位~」2020年10月14日 ブランド総合研究所・地域ブランドNEWS)が先日発表されましたが、北海道が12年連続のトップを堅持する一方、
茨城県が7年ぶりに最下位を脱出したことも話題になりました(42位)。
その辺について、
茨城県民はぶっちゃけどう思ってるのか? 茨城県出身かつ郷土愛強めの我が夫およびその知人の方々を中心に現場の声を直撃レポートしてみました。あくまで身近な範囲の県民の声ではありますが出身者ならではの話も聞けたので、よろしければ。ではさっそく。
Q1 「魅力度ランキング」7年ぶりに最下位を脱出について、率直な感想はどうですか?
「嬉しさよりも貴重なアイデンティティを失ったという気分で複雑です」(常陸大宮市出身・Oさん)
「目立たなくなってしまうのは残念だが、
自虐をやめる良い機会。前向きなPR路線でやっていってほしい」(鉾田市出身・夫)
「
県知事の取り組みが評価に反映されたのだと思う」(水戸市出身・Oさん)
Q2 今まで最下位だったことは妥当だと思いますか?不当だと思いますか?
「魅力のある観光地が思い浮かばないので妥当だと思う」(水戸市出身・Oさん)
「対象を居住者に絞っていないため“魅力度”という言葉では茨城に限らず妥当ではないと考えています。ただし“知名度”の意味では観光に依存しない県としては妥当かもしれません」(水戸市出身・Oさん)
「首都近郊にあり、観光PRに力を入れてこなかったことを考えると妥当」(鉾田市出身・夫)
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やはりビリはビリでアイデンティティになっていたんだな!? と感じる一方、夫は
「最下位を逆手に取った自虐PR」にあまり好感を抱いていない様子。詳しく聞いてみると、
「あまり良いとは思ってない層もいるよね。特に年配の方とか……」とのこと。そりゃそうですね。
そして原因について「観光の弱さ」「中途半端な東京までの近さ」を挙げる人が多かったですね。都内から数時間というアクセスの割に、
パンチのある観光地がないorPRが足りないとのこと。
調べてみたところ、
最下位の結果を受けて茨城県は18年度の組織改編でプロモーション戦略チームを発足。さらに今年7月には県内民間企業や団体で「いばらきビリ県脱出連絡会議」が発足。官民ともに対策を講じていたんですね。
賛否が県内でも分かれていると思しき「自虐ネタPR」は3年ほど前まで県自ら行っていたものの「話題にはなるが最下位を脱出できない」ため封印。方針を転換し、
VTuber「茨ひより」の起用、「TikTok」の公式アカウント作成など双方向のメディア展開でPRを進めてきたようです。
なるほどな~、「県が自虐ネタ!?」って目立つかもしれないけど、それより地道なファンの獲得の方が効果的だったってことですね。
漫画界では、ネットでバズる→単行本化決定!→売上爆死という悲しい事案がいくつも起きたのですが、それに通じるものを感じました。
閑話休題。さてここからは
県民の思う茨城の魅力を聞いてみます。
Q3 あなたのイチオシの茨城の「食」を教えてください
「
干し芋。野菜。納豆。メロン」(水戸市出身・Oさん)
「常陸大宮市出身から言わせていただければ
『満景(和食の割烹)』と『雪村庵(フレンチ)』を押さえておけば間違いないです。どちらもコースのクオリティに対する価格設定のすばらしさ!」(常陸大宮市出身・Oさん)
「
けんちんそば。つけタイプでもつかってるタイプでも美味しいです。最近では凍みこんにゃくが入っているものに凝っていて、地元産の野菜をどんどん入れるこの料理はまさに茨城の宝石箱と言えるでしょう」(水戸市出身・Oさん)
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そうそう。
茨城は農業に強く、鶏卵、メロン、ピーマン、れんこん、ほしいも、水菜など全国第1位の産出額のものがたくさんあるんですよね。夫はメロンの日本一の産地・鉾田市の出身なので我が家でもシーズンにはでっかいメロンをいただくのですが……、
暴力的にみずみずしくて美味しいのです、これが。メロンは「人からもらう」「飽きるほど食う」ものなので高級品というイメージがなく、むしろスイカの方が貴重、などと贅沢なことを言っておりました。羨ましい!
茨城でそばと言えばブランド品種の常陸秋そばだそうですが、具だくさん味濃い目のけんちん汁につけて食べる「けんちんそば」がポピュラーだとか。
個人的なおすすめは「干し芋」。私ももともと好物でしたが、手土産として渡すと評判のいいこといいこと。特にお子さんのいる家庭にはバカウケです。