“身寄りのない人”の孤独死現場の壮絶さ。特殊清掃員が明かす「費用が高額に跳ね上がる」納得のワケ
現在、孤独死の数は年間7万人以上にのぼるが、“身寄りのない人たち”が多くを占めているようだ。
都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんに、身寄りのない人が孤独死した場合、どのような事態になるのか話を聞いた。
鈴木さんによれば、孤独死した高齢者は身寄りがないケースが多いという。
「亡くなった方が高齢の場合、身寄りのないケースが多いですね。独身で家族や周りの親戚の方が先に亡くなられたり、子供はいるが揉めて縁を切られたりして、引き取り拒否をされてしまっているパターンがあります。
地方にほぼ関係性がない親戚がいる場合もあるのですが、関係が遠すぎて『なぜ私たちがあまり関わりのない親戚の特殊清掃費用を負担しなきゃならないの?』と言われたこともありました。そもそも連帯保証人でもないので支払う義務はないのですが」
基本的には孤独死の特殊清掃依頼を受けても親族や縁者が見つかるまで作業に移れないケースもあるという。
「死亡が発覚した時に、警察が緊急連絡先に登録されている人に連絡して親族が亡くなった旨を伝えるのですが、親族を探すのに1ヶ月や2ヶ月かかるときがあります。家や財産をどうするかという流れで、相続するかしないかが決定する前に家のものをいじってしまうと、後からトラブルになる場合があるので作業に移れないんです。
ただ、ようやく見つかった親族に相続するか聞くと、相続拒否というケースがほとんど。そして、長い間現場を放置することによって清掃作業の工程が余計に増えるといった事例が多くあります」
実家から遠く離れ、一人暮らししている人が孤独死した場合、多少やっかいなケースになるという。
「直接の二親等(兄妹や姉妹、祖父母、孫)くらいの場合であれば、引き取ったり相続したり、葬儀の段取りを組んでくれます。しかし、東京での孤独死だと、実家が遠方にあり、ほぼ会ったことのない甥っ子が唯一の身寄りというパターンも多いです。その場合は、警察が自治体に連絡して火葬から埋葬までを一括で担います。生活保護をもらっている方が孤独死したとして、身寄りがない場合は作業費用が高額になるケースが多々あります」
なぜ身寄りのない生活保護受給者の孤独死作業は手間がかかるのか。
「身寄りのある方の孤独死の場合、死後の発見が早かったり、被害が悪化する前に見つかることがあるんですが、身寄りのない生活保護受給者の場合、生活保護費から家賃が勝手に引かれるので、亡くなっていることに気づかれないのです。
住んでいるところが古い木造アパートのケースが多く、古い木に匂いが染みついてしまい、床一面を壊さないといけないなど面倒な清掃工程になることがあり、そのぶん費用が跳ね上がります」
不動産屋も家賃が安定的に振り込まれるため、安心してしまうのだという。
「気がついたら死後3ヶ月経過していたなんてこともザラにあります。生活保護者の住宅には、あまり人が住んでいない物件もあり、臭いに気づく人もいなくて放置されがちなんです。そういった部屋の清掃は骨が折れます。臭いは時間が経てば経つほど弱くなっていくんですが、うっすらと建物全体に充満してしまい、しっかり作業をしても完全に取れないこともあるんです。このわずかな臭いを取るため、作業日数が長くなり費用もかさみます」
古い木造物件だと建物全体に嫌な臭いがこびりついてしまい、複雑な清掃工程となる。
「一般的な特殊清掃の場合、人が倒れていた箇所の体液を除去して洗浄し、部分的な解体をして念のため壁紙をはがし全体に薬剤処置をするだけで済むのですが、建物全体に臭いが染みついてしまうと大変です。
木は臭いを吸い込みやすいので木を壊して全面取り替えしたり、塗装をして全面コーティングをしなくてはいけません。結果、身寄りのある人の家の特殊清掃をする場合より高額になる場合が多いのです」
親族や縁者が見つからずに現場が長期間放置されることも

テーブルの上にはパズル雑誌やノートが置かれている。画像提供:ブルークリーン(以下同)
身寄りのない人が孤独死すると、特殊清掃費用が高額になるワケ


畳を外すことに

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(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
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